雨漏り修理はどの業者に依頼したらいいの?
急に雨漏りが起こると焦ってしまう方が多いと思いますが、実は雨漏りは突然発生する訳ではありません。
雨漏りが起こる原因箇所は外壁や屋根、または基礎部分など様々ですが、いずれの場合でも一度の雨でいきなり雨漏りが起こった訳ではなく、時間をかけて雨水が建物内部に侵入していた場合がほとんどです。
ただし、台風や大雪など自然災害が発生した際の外的要因によって、外壁や屋根が破損した場合には突然雨漏りが発生するケースもあります。
つまり、外から見ただけではわからない建物内部で劣化が進行しており、時間をかけてその箇所から雨水が屋内へと侵入し、受け止めきれなくなった雨水が「天井から水が落ちてくる」といった形で雨漏り症状として現れる訳ですね。
気づかないところで実害を伴わずに進行した建物劣化の結果が雨漏りなのです。
このように、雨漏りは突然発生するのではなく、原因があるために起こるものです。
ただし、どんな雨漏りであっても、修理が必要であることには違いありません。
雨漏りが発生すると生活に大きく支障をきたす場合もあるので、「急いで業者を探して、急いで修理してもらって…」と焦ってしまうものですが、雨漏り修理においては業者選びに時間をかけることが重要です。
焦ってしまうと、どうしても業者選びを最初に問い合わせた業者ですぐに決めてしまったり、見積書の内容をしっかり確認せず高額な費用で契約をしてしまったりと、後々の大きなトラブルの原因ともなりかねません。
事実、悪質な雨漏り修理業者は、「お客様は焦ってるからこちらの言い値で契約を結ぶだろう」「どうせ雨漏り修理のことなんて何も知らないだろうから、適当な工事でいいだろう」と足元を見てきます。
だからこそ、悪徳業者に騙さず信頼できる業者を選ぶためにも、焦る気持ちを抑えて複数業者から相見積もりをとること、業者の評判や実績を調べることが重要です。
急を要する雨漏り修理だからこそ、焦って契約することは避けてじっくりと業者選びを行いましょう。
新築10年以内に雨漏りが発生した場合
新築から10年以内に雨漏りが発生した場合、住まいの設計・建築に携わった工務店や大手ハウスメーカーに依頼するのがおすすめです。
建築中の付き合いや工事後のメンテナンスなどで関係が悪くなってしまったという方も多くいらっしゃいますが、設計・建築に携わった工務店や大手ハウスメーカーには「瑕疵担保責任」があります。
「瑕疵担保責任」とは、「建物の住人や隣人などの生命、身体又は財産が危険に晒されることがないよう安全性を備えていなければならず、施工主には建物の安全性が欠けることのないよう配慮する注意義務がある」と定められたものです。
新築住宅の引渡しから10年間、工務店や大手ハウスメーカーにはこの義務を全うする瑕疵担保期間が設けられています。
お客様にとっては非常に有益で大切な権利となるので、工務店や大手ハウスメーカーにしっかりと直してもらいましょう。
設計・建築に携わった工務店や大手ハウスメーカーに雨漏り修理を頼むメリットとしては、
- 建物内部の造りがどうなっているのかをすでに把握しているので作業が早い
- 屋根工事以外に内装工事などが必要になった場合、工務店側が業者を手配してくれる
といった点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、
- 家を「建てる」プロではあるが「直す」プロではないので、雨漏り修理の技術が乏しい場合がある
- 「瑕疵担保責任」を逃れるため、「コーキングで一旦様子を見ましょう」と逃げられることがある
といった点が挙げられます。
また、「瑕疵担保責任」で工務店や大手ハウスメーカーに雨漏り修理を依頼する場合、皆様との間で工事の内容や範囲に食い違いが起こりやすいという点には注意が必要です。
例えば、屋根からの雨漏りで雨水が屋内まで侵入し、天井や壁紙に雨ジミができてしまったとします。
皆様からすれば、「天井や壁紙も綺麗に修繕してほしい」と思いますよね。
しかし、施工業者側は、「屋根からの雨漏りなら、原因箇所だけを直せばいい」と考えているのです。
「瑕疵担保責任」は、「建物の安全性が欠けることのないよう配慮する注意義務」であるため、原因箇所の修繕は当然としても、汚れた箇所もすべて綺麗にしてほしいというのは過剰な要求となってしまう訳ですね。
新築から10年以内に起こった雨漏り修理の費用は工務店側の負担になるので、こういった食い違いが起こりやすいです。
皆様と工務店側で食い違いが起こると、そもそも修理が進みませんし後々の費用に関するトラブルの原因ともなりかねませんので、過度な要求は控えた方が良いでしょう。
新築から10年以上経過して雨漏りが発生した場合
新築から10年以上経過して雨漏りが発生した場合は、街のリフォーム業者、あるいは屋根修理業者に修理を依頼することになります。
どちらの業者も、工務店や大手ハウスメーカーと違い、「建てる」ことより「直す・修繕する」ことに特化しています。
築10年以内で工務店や大手ハウスメーカーに雨漏り修理を依頼したにも関わらず雨漏りが再発する場合、施工業者の技術・知識不足の疑いがあるので、その場合もリフォーム業者・屋根修理業者に修理を依頼した方が良いでしょう。
ここで頭を悩ませるのが、「リフォーム業者と屋根修理業者、どちらに依頼したら良いか?」です。
結論からお伝えすると、「修理範囲や内容、皆様のご要望による」です。
例えば、リフォーム業者は屋根以外にも外壁やベランダ・バルコニー、さらには室内と住まいのあらゆる場所のリフォームに対応可能です。
屋根修理業者も一部の業者は外壁工事・防水工事にも対応可能ですが、基本的には屋根工事の専門家です。
そのため、「屋根からの雨漏りだと思っていたら、原因は外壁の劣化だった」という場合には、改めて対応できる業者を探す必要が出てくるでしょう。
しかしリフォーム業者であれば、自社であらゆる工事に対応できるため業者探しの手間もなく、迅速に対応してくれます。
ただし、リフォーム業者は住まいのあらゆる工事に対応できる反面、屋根に関する専門的な技術・知識では屋根修理業者の方が優っているケースが多いです。
「屋根の工事にも対応できますが、普段は室内のリフォーム工事が多いんです」といったリフォーム業者に屋根の工事を任せるのは少し不安が残りますよね。
リフォーム業者を選ぶ際は、業者のホームページなどで屋根工事や雨漏り修理に関する施工実績が豊富かどうかを確かめるようにしましょう。
まとめると、
- 雨漏りの原因箇所がどこかわからない
- 雨漏りの原因箇所以外にも、室内の天井や壁紙の雨ジミも綺麗にしてほしい
- 雨漏り修理以外にも、住まいの工事でやってほしいことがある
といった場合には、リフォーム業者を選ぶのが良いでしょう。
一方、
- 雨漏りの原因箇所は屋根だとわかっている
- 雨漏り修理に併せて、屋根の葺き替え工事やカバー工法など屋根のリフォームをお願いしたい
といった場合には、屋根修理業者を選びましょう。
ただし、いずれの場合でも上述のように、業者の施工実績はしっかりチェックしてから問い合わせるようにしてください。
雨漏り修理の価格・費用相場について
雨漏り修理にかかる費用は、部分的な修理で済むのか?屋根全体の修理をした方が良いのか?で大きく異なります。
また、部分的な修理の場合であっても、修理箇所によって修理費用が違ってきます。
部分的な修理では改善が見られず、屋根全体の修理が必要となる場合は、屋根の下地まで刷新する屋根葺き替え工事が最も高額になります。
ただし、屋根の下地や防水シートにそれほど劣化が見られない場合は、カバー工法を選択することで費用を抑えることができるケースもあります。
それでは、具体的に雨漏り修理の価格・費用相場を見ていきましょう。
部分的な雨漏り修理の価格・費用相場
雨樋の修理や交換、板金部分の交換など、部分的な修理の場合でも、修理箇所によって費用は異なります。
以下は、関東エリアの一般的な戸建住宅、30坪〜35坪における部分的な雨漏り修理の価格・費用相場です。
- 雨樋の修理 : 3,000円〜10万円
- 板金部分の取り替え : 5,000円〜10万円
- シーリング打ち替え : 1,000円~5万円
- 瓦の一部差し替え : 1万円~5万円
- スレート・コロニアルなどの一部差し替え : ~3万円
- 雨漏り修理(点検などの費用含む) : 5~25万円
シーリング打ち替えや屋根材の差し替えは、使用する材料や枚数によって費用が変動します。
屋根全体の修理を行う場合の価格・費用相場
屋根全体の修理には、屋根葺き替え工事やカバー工法、屋根塗装などがあります。
以下は、関東エリアの一般的な戸建住宅、30坪〜35坪における屋根全体の修理の価格・費用相場です。
- 屋根葺き替え工事 : 80万円~150万円
- 屋根カバー工法: 60万円~120万円
- 屋根塗装 : 30万円~60万円
このように、修理箇所や修理内容によって価格・費用は大きく変わってきます。
いずれの工法を選んだとしても、決して安い工事ではないのが雨漏り修理。
だからこそ、焦る気持ちを抑えて、適切な修理を行なってくれる信頼できる業者を慎重に選びたいですね。
雨漏りが発生したらご自身でも確認しておきたいポイントは?
雨漏りが発生すると、「修理してくれる業者を探して見積もり依頼をし、業者が実際に現地にやって来て調査を行う」といった流れで雨漏り修理が進みます。
しかし、雨漏りが発生した際にご自身でも確認しておいていただきたいポイントがあります。
一般的に、雨漏りの原因箇所を特定するために散水調査が行われます。
散水調査とは、屋根や外壁にホースなどを使って水をかけ、雨天を再現して雨漏り箇所を特定する調査方法になります。
しかし、散水調査で雨は再現できても、「どれくらいの降水量で雨漏りが始まったか」「どれくらいの風が吹いて、どれくらい横殴りの雨になっていたか」などは完全に再現できません。
そのため、散水調査を行なっても原因箇所が特定できなかったというケースも実は多いのです。
原因箇所の特定ができないということは、その分雨漏り修理の着工が遅れてしまうということです。
そうならないためにも、雨漏りが発生した時点で次のポイントを確認しておき、修理業者に伝えるようにしましょう。
- 雨漏りが発生した際の雨量はどの程度だったか?
- 雨漏りが発生した際の風の強さはどの程度だったか?
- 風が強かった場合、どの向きに風が吹いていたか?
- 雨漏りは水が滴り落ちてくる程度か?天井や壁にシミができる程度か?
- 雨漏りが発生している箇所の近くに室外機などの設備があるか?
- 雨漏りが繰り返す場合、いつも同じ場所か?
- 晴れた日にも雨漏りすることがあるか?
- 室内でカビの臭いはしないか?
- シロアリ被害に遭ったことがあるか?
- 以前に地震による被害を受けたことがあるか?
これらのポイントを業者に伝えることで、業者側からしても原因箇所の特定が容易になり、より正確に原因箇所を見つけることができます。
「雨漏り修理をしても雨漏りが止まらない…」、そんな時はどうする?
一度雨漏り修理を行えば、「雨漏りは確実に止まる」とお考えの方も多くいらっしゃいますが、実は「業者に修理してもらったはずなのに、すぐに雨漏りが再発した…」というケースは少なくありません。
このケースには、以下の3つの原因が考えられます。
雨漏り修理業者の技術・知識・経験不足
雨漏り修理は外壁塗装や内装リフォームなど住まいに関わる工事の中でも、特に知識や経験が求められる工事となります。
なぜなら、雨漏りの原因箇所は建物の構造によっては非常に複雑になっており、一箇所だけでなく複数箇所に及んでいる場合も多く、知識や経験が乏しい業者には原因の特定が難しいからです。
不慣れな業者が雨漏り修理を行うと、複数にわたる原因箇所を見逃してしまうケースが非常に多いです。
また、技術が不足している場合も、適切な修理方法を行えず、雨漏りが再発してしまうことがあります。
特に、本当は複数にわたっている原因箇所の1つだけを「ここが雨漏りの原因箇所だ」と特定したまま工事を行うと、屋根の上を雨水が流れる経路が変わってしまい、想定外の場所に雨水が流れ込んで、新たな雨漏りを誘発する恐れがあるので注意が必要です。
雨漏りは雨量や雨の強さ、さらには風の強さや向きなどで発生条件が変わります。
そのため、雨漏りの原因箇所の特定には、雨漏りが発生している現場をいくつも見てきた経験、そしてどのように止めてきたかの知識が非常に重要となるのです。
技術・知識・経験が不足している業者に修理を依頼すると、雨漏りが止まらないだけでなく、新たな雨漏りが発生する可能性も少なくありません。
何度雨漏り修理をしても雨漏りが止まらない場合は、業者の技術・知識・経験不足を疑いましょう。
適切な修理が行われていない
前項の「技術・知識・経験不足」は業者が意図しない部分の話ですが、こちらは業者が「意図的に適切な処置を行わなかった」という話です。
雨漏りは原因箇所をしっかり修理しなくても、コーキングなど簡易的な工事でも一時的に「止まったように見せる」ことは可能です。
雨漏り箇所への雨水の侵入経路を塞ぐことで、簡易的に雨漏りを止めるという訳ですね。
ただし当然ながら、原因の根本的な解決にはなりません。
こういった一時しのぎ的な工事が行われる背景としては、
- 本当は原因箇所の特定ができず適切な処置もできないが、依頼を受けた以上「できません」は通用しないので、一時的にでも雨漏りが直ったように見せている
- そもそも手抜き工事前提で雨漏り修理を請けている
- 瑕疵担保期間の雨漏り修理は費用が工務店側負担になるため、コーキング工事など簡易的な工事で期間を逃れようとしている
といった事情が疑われますが、いずれの背景も業者都合であり、皆様からすれば迷惑なだけの話です。
恐らくどんな雨漏り修理業者であっても現地調査の段階で、「しっかり雨漏りを止めてみせます!」と皆様に伝えているはずです。
どんな事情があるにせよ、雨漏りが再発した場合は前回雨漏りを止められなかった業者に再度依頼するべきではないでしょう。
建物自体に問題がある
建物、特に建物躯体に問題がある場合、雨漏り修理をしても雨漏りが再発する場合があります。
例えば、建物が古くなっていたり、すでにシロアリ被害がある場合、修理をしても対処できないことがあります。
以上のように、雨漏り修理は業者の技術・知識・経験が必要となります。
不適切な修理をされないためにも、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
雨漏り修理には火災保険を利用できる「場合がある」
雨漏り修理をする際に、火災保険を利用できる場合があります。
ただし、そのためには皆様が加入されている保険会社から「風災」と認定されなければなりません。
つまり、雨漏りが起こった原因となる被害が経年劣化や地震ではなく、「風災」によるものである必要があります。
また、修理費用が20万円以上であり、保険加入者本人による申請であることも条件の一つです。
ただし、申請は雨漏り修理修理が必要になってから3年以内でなければなりません。
これらの条件を全て満たせない場合は、保険の申請をしても保険金を受け取ることができません。
火災保険の申請の流れ、申請の際の条件や注意点などは、こちらの記事で詳しく解説しています。
外壁塗装・屋根修理で火災保険の申請ってどうやるの?方法や流れを徹底解説
外壁塗装・屋根修理に火災保険は適用される?条件や注意点を徹底解説
雨漏り修理業者が最初から「保険を使って無料で修理を!」と言っている場合、その業者を疑うようにしましょう。
保険が適用されるかどうかを決めるのはあくまでも保険会社であり、業者が「絶対に受け取れる」「必ず申請が通る」と断言できるはずがないのです。
そのような「保険を使った無料修理」を謳う業者は、もし保険が適用されなかったとしても無責任な対応しかしてくれません。
「保険がおりなかったのは残念ですね、ただすでに契約は結んでいるので実費で支払いをお願いします」といった具合です。
火災保険自体はいざという時に心強い味方ですが、「無料」「絶対」「必ず」といったキーワードを軽々しく使う業者には注意しましょう。
雨漏り修理をどこに頼むかお悩みの方へ まとめ
「雨漏り修理ができる」と謳う業者は数多く存在しますが、そのすべてが「本当に雨漏りをしっかり止めることができる」業者ではありません。
一度の工事でしっかり雨漏りを止めるためにも、雨漏りが再発して余計な出費がかさまないようにするためにも、雨漏り修理は信頼できる業者を選ぶことが重要となります。
業者選びの際は、業者のホームページなどを隅々までチェックし、本当にその業者は雨漏り修理の実績が豊富か、信頼に足る業者かを見極めてから問い合わせするようにしましょう。