外壁塗装を「10年に一度」は早い?塗り替えるべき本当のタイミングとは?

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外壁塗装を「10年に一度」は早い?塗り替えるべき本当のタイミングとは?

外壁塗装を「10年に一度」は早い?塗り替えるべき本当のタイミングとは?

インターネットで「外壁塗装の塗り替えは10年に一度」「10年に一度塗り替えないと外壁の劣化が…」などと説明されているのをご覧になったことはないでしょうか?
結論からお伝えすると、使用する塗料にもよりますが10年に一度の塗り替えは少しペースが早く、多くの方が15〜20年に一度のペースで外壁塗装を行なっています。
決して安くはない外壁塗装、塗り替え周期が早いとメンテナンスにかかるコストが増してしまうので、できる限り塗装の回数を減らしたいところですね。
このページでは、外壁塗装が「10年に一度」と言われる理由や、10年に一度が早いのであれば塗り替えるべき本当のタイミングはいつなのか、などを解説します。

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そもそも、なぜ外壁や屋根には塗装が必要なのか?

そもそも、なぜ外壁や屋根には塗装が必要なのか?

皆様は、定期的に外壁塗装、あるいは屋根塗装を行わなければならない理由をご存知でしょうか?
外壁塗装を行う目的は「美観回復」が一番の理由だと思われていますが、それは誤りです。

もちろん建物全体を綺麗に塗り替えて美観を蘇らせるのも大切な目的ですが、それ以上に大切なのは、「外壁や屋根など、365日24時間雨風や紫外線に晒されている建物の保護」です。

外壁材として使用されているサイディングやモルタルなどは、30年〜40年という非常に長い耐用年数を有しています。
しかしそれはあくまでも、適切なメンテナンスを定期的に行なった場合です。
もし外壁や屋根が塗装によって保護されてなければ、雨風や紫外線によってあっという間に外壁材・屋根材は劣化し、耐用年数よりもはるかに短い期間でボロボロになってしまうでしょう。

外壁塗装は、言わば大切な住まいを守ためのバリアのようなものです。
適切なタイミングで塗装することで、建物を構成する外壁材や屋根材を保護して劣化を抑える。
外壁塗装で建物全体を過酷な自然環境から守ることが、建物自体の寿命を伸ばすことに繋がるのです。

もし塗り替えのタイミングを逃し、外壁・屋根の劣化を放置してしまうと様々な不具合・トラブルが発生します
さらに、それらの不具合トラブルは、雨漏りを引き起こす大きな要因となってしまい、高額な修繕費用が必要となる事態になりかねません。
高額修理になる前に修繕すべき外壁・屋根の劣化症状についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

外壁塗装が建物にとって大切で必要不可欠な工事であるのはおわかりいただけたかと思いますが、次に気になるのは「いつ外壁塗装をすれば良いの?」ではないでしょうか?
インターネットで調べていると、外壁塗装は10年に1度のタイミングで行うべきという記事などが出てきますし、多くの方はなんとなく「そうなんだ」と納得していると思います。
では、実際のところはどうなのでしょう?
次項で詳しく見ていきましょう。

外壁塗装を行うべき最適なタイミングは、塗料のグレードや住まいの劣化具合によって異なる

結論からお伝えすると、外壁塗装が10年に1度行うべきというのは、嘘と本当が半分半分です。
なぜなら、建物の素材も立地も異なるすべての住まいが、すべて同じようなタイミングで塗り替えが必要となるとは言えないからです。

例えば、「家を建ててから初めての塗り替えか?」「過去に1回以上塗り替えをしたことがあるか?」でも外壁塗装を行うべきタイミングは異なります。
特に、過去に1回以上塗り替えをしている場合、「前回どのグレードの塗料で外壁塗装をしたか?」が次に外壁塗装を行うべきタイミングの目安として重要になります。

一口に外壁塗装の塗料といってもグレードは様々で、新築物件に使われているようなアクリル塗料は耐用年数が10年にも満たないため、10年未満での外壁塗装が必要となります。
しかし、前回の外壁塗装でグレードが高い塗料(フッ素塗料・無機塗料など)を使用している場合、10年を過ぎてもまだ劣化が見られない場合もあります。
このような場合には、まだ外壁塗装の最適なタイミングではないと言えるでしょう。

外壁塗装の最適な塗り替えタイミングは、前回使用した塗料のグレードによって異なる

上記の各塗料のグレードごとの耐用年数を見ていただくとおわかりいただけると思いますが、塗料によっては耐用年数が10年にも満たないものもありますし、中には20年ほどの耐用年数を有している塗
料もあります。
つまり、これらを平均して大体10年が外壁塗装の塗り替えの目安だと言われているのです。
これが、外壁塗装が10年に1度行うべきというのは嘘と本当が半分半分といった理由です。

塗料のグレードについては、こちらの記事でグレード毎に詳しく解説しています。

もし前回使用した塗料のグレードがわからない場合

前回使用した塗料のグレードがわかる場合、上記の塗料の耐用年数表と照らし合わせることで適切な塗り替えのタイミングが見えてくるかと思います。
また、「グレードはわからないけど塗料の名前はわかる」という場合は、塗料名で検索すると塗料のグレードがわかるので、そこから判断することができるでしょう。
塗料は同じグレードであっても製品によって多少異なることもあるため、塗料名から各メーカーのホームページを検索し、塗料ごとの正確な耐用年数を調べておくとより安心です。

一方で、「グレードも塗料名もわからない」という方もいらっしゃると思います。
その場合は、前回外壁塗装を行なった際の契約書や見積書など、何か書類が残っていないか探してみましょう
書類には塗装工事に関わる様々な情報が記載されているため、何かしらヒントを見つけることができるはずです。
また、前回の塗装工事を行なってくれた業者の連絡先がわかるのであれば、直接聞いてみるもの良いでしょう。

前回使用した塗料のグレードは、今回塗装工事を行う業者にとっても「どの塗料を使うのか?」などプランを考える上で重要な項目です。
より良い仕上がりにするためにも、塗料の耐久性を高めるためにも、わかる範囲で大丈夫ですので調べておきましょう。

塗料のグレード以外に、塗り替えをすべきタイミングの目安とは?

ここまで、外壁塗装の塗り替えのタイミングが必ずしも10年ごとではないとお伝えしました。
前回の外壁塗装で使用した塗料の耐用年数が10年以内であれば10年ごと、フッ素塗料のような耐用年数が長い塗料であれば15年〜20年で塗り替えを行えば問題ありません。
シリコン塗料やラジカル塗料は耐用年数が8年〜15年と10年をまたぐ形になっているので、10年に一度専門業者に外壁・屋根診断を仰ぎ、「すぐに塗り替えるべきか、まだ何年か大丈夫か」を診てもらうとより安心です。

このように、基本的には塗料のグレードから塗り替えをすべきタイミングはある程度判断できます。
しかし、塗料の耐用年数に限らず、「この症状を見つけたら早めに専門家に診てもらった方が良い」という外壁の劣化症状があります。

同じ塗料を使ったとしても例えば、

・平地より高いところに建物があり、日中強い日差しにさらされている
・年中を通して雨量の多い地域
・建物が密集しており、日差しが当たらず雨水が乾きにくい
・海に近い

など、建物の立地条件によっては塗料の耐用年数は前後し、メーカーが公表している耐用年数より早く様々な劣化症状が起こり得ます
詳しくは上記の記事でも解説していますが、必ずしも塗り替えをしなければならない訳ではなく、応急処置で対応できる症状もあります。
ただしそのまま放置すると今後の大きな不具合・トラブルの呼び水となってしまうので、劣化症状を見つけたら塗り替えるかどうかは別として外壁・屋根診断だけは必ず仰ぐようにしましょう
それでは、塗り替えの目安となる外壁の劣化症状を順に見ていきましょう。

チョーキング(白亜化現象)

チョーキング(白亜化現象)

外壁を指で触れた際に手に白い粉がついてしまうことがありますが、この現象をチョーキング(白亜化現象)と呼びます。
これは、塗料に使用される白色顔料に含まれている酸化チタンが劣化、もしくは塗料の中の合成樹脂が分解され、顔料が粉状になってが表面に浮き出てしまう現象です。
チョーキングが起こっているということは、塗膜の劣化が進んで防水性が低下していることの証です。
今すぐでなくても、できるだけ早めの塗り替えを検討するようにしましょう。

コーキング(シーリング)の劣化・風化・ヒビ割れ

コーキング(シーリング)の劣化・風化・ヒビ割れ

コーキング(シーリング)は、外壁のサイディングの繋ぎ目を埋めるために使われたり、窓やサッシ周りなど外壁と別の建材がとり合う箇所に多く使われている素材です。
コーキングは紫外線に弱いという性質があり、コーキングの劣化・風化が進むとコーキング自体が硬化し、写真のようにヒビ割れが発生したり、外壁材に隙間ができてしまいます
ここまで劣化が進むと、雨水が建物内部へ侵入するのを許してしまうため、早急な修繕が必要となります。
基本的には外壁塗装を同時に建物すべてのコーキングを打ち直すのが一般的ですが、部分的に劣化がひどいといった場合には、既存のコーキングの上から新しいコーキングを充填する「コーキング増し打ち」という工法もあるので、業者に相談してみましょう。

外壁のヒビ割れ(クラック)

外壁のヒビ割れ(クラック)

外壁のヒビ割れはクラックとも呼ばれ、塗膜表面のみが劣化して起こる場合もあれば、外壁材自体が乾燥や地震の揺れなどによって割れてしまう場合もあります。
ヒビ割れはその長さや幅、深さによって修繕の緊急性が変わってきます
幅が0.3mm以下で、ヒビの幅が細く髪の毛のように見えるものを「ヘアークラック」と呼びますが、これはまだ表面の塗膜のみが劣化している状態であり、緊急性はそこまで高くなく、コーキングで対応可能です。
ただし、幅が0.3mmより大きく深さが5mm以上ある場合は、「構造クラック」と呼ばれ、こちらは雨漏りを引き起こす可能性があるので緊急性が一気に高くなります
外壁のヒビ割れは幅も重要ですが、ヒビの「深さ」にも注意が必要ですので、外壁にヒビ割れを見つけた場合は専門家の診断を仰ぐようにしましょう。

外壁の浮き・剥がれ

外壁の浮き・剥がれ

外壁に浮きや剥がれがある場合、壁内部でトラブルが発生している恐れがあります。
この症状は塗膜の劣化が原因という場合だけでなく、施工不良が原因で起こることもあります。
浮き・剥がれは美観を大きく損ねるだけでなく、外壁が紫外線や雨水に対して無防備な状態になってしまいます。
今日明日で何か起こることは無いにせよ、早めの塗り替えが必要となる症状です。

外壁のコケ・カビ

外壁のコケ・カビ

「雨が降れば外壁にコケやカビが生えるのは別に普通のことじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、基本的に塗料にはコケやカビ、藻の発生を抑える成分が含まれています。
にも関わらずコケやカビが生えるということは、塗料の防汚染機能が低下している恐れがあります。

また、コケやカビは常時水分があるところに生えるものなので、外壁にコケやカビが生えている=外壁が常時水分を含んでいる=塗膜の防水性が低下している、とも考えられるのです。
いずれにせよ塗膜の劣化が疑われるので、専門家の診断を仰いだ方が良いでしょう。

外壁の色褪せ

外壁の色褪せ

外壁は四六時中雨や紫外線などの自然環境に晒されているため、どんな高性能で高価な塗料を使用してもいつかは必ず色褪せが発生します。
実際、色褪せしているからといって今すぐ何かが起こる訳ではありません。
しかし、外壁の色褪せは塗膜劣化の初期症状でもあるため、それまでに一度も外壁診断を行なっていない場合は、一度専門家の診断を受けてみると良いでしょう。
実際に被害が発生しないと建物のトラブルには気付きにくいものですが、いざ診断をしてみると予期していなかった不具合の予兆が見つかったりするものです。

金属部分の錆び

金属部分の錆び

建物内の金属部分、例えばベランダ手摺りや屋外階段などは素材が金属である以上錆びが付きものです。
錆びの発生は美観を大きく損なうのはもちろん、進行すると穴や凹みの発生にも繋がってしまうので放置は危険です。
また、錆びているからといってDIYでそのまま錆びの上から塗装を行なっても、塗膜の下で錆びは進行を続けてしまいます。
しっかりした塗装業者であれば、下処理として「ケレン」という作業を行い、しっかりと錆びを除去してから塗装しています。
小さな範囲のDIYであっても、金属部分の塗装は難しく失敗の要因となりかねないので、専門業者に任せるようにしましょう。

外壁塗装を「10年に一度」は早い? まとめ

今回解説したように、外壁塗装が10年に一度行うべきというのは、嘘と本当が半分半分です。
10年で適正タイミングという方もいれば、10年ではまだ早いという方もいらっしゃいます。
塗り替えを10年ごとに行うべきかどうかは、前回使用した塗料のグレード、そして建物の立地条件によって住まいごとに異なるので、「必ずしも10年ごとに塗り替えなければならない訳ではない」と覚えておきましょう。

しかし、耐用年数が長い塗料であっても、立地条件によっては10年を過ぎた頃には何かしら小さな不具合が発生する場合もあります。
どんな小さな不具合・トラブルでも、後々の大きなトラブルの要因となり得ます。
その意味でも、「10年に一度は塗り替え」ではなく、「10年に一度は外壁診断」を行うのがおすすめです。

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