防水工事における減価償却と法定耐用年数の関係とは?
投資用物件を所有されている方であればピンとくる単語かもしれませんが、減価償却と法定耐用年数と言われても「なんのことだろう?」と思う方も多いかと思います。
しかし、それぞれ内容や考え方自体は決して難しいものではありません。
また、防水工事の節税を効果的に行うためには、知っておくべき単語でもあります。
ここからは、そんな減価償却と法定耐用年数意味や関係性について、一緒に確認していきましょう。
減価償却の意味とは?
減価償却とは、資産取得にかかった費用をその資産の使用可能期間な期間で分割し、費用計上する会計処理方法を指します。
詳しく解説すると、取得した資産が時間の経過と共に資産価値が減少してくことを踏まえた上で、その減少額を一定期間に分配して経費として計上する方法となります。
実際にはもっと複雑な計算となりますが簡単な例を挙げると、仮に設備投資に1000万円かかった場合、一度で支払うと経理上では1000万円の支出となり、支出が収入を上回ると当然赤字となります。
特に投資を行っている方にとっては、赤字が発生することで金融機関からの融資を止められてしまったり、新しくローンを組めなくなってしまう恐れもあるので、できる限り赤字は発生させたくないでしょう。
一方、この1000万円の支払いを一度に行うのではなく、その資産の使用可能期間な全期間、例えば10年で120回に分けると毎月の支出は約8万円となり、経理上赤字が発生しにくくなります。
減価償却は、こういった投資面における不利を最小限にすることが可能となる会計処理方法なのです。
減価償却を行うかどうかは任意となっているため、必ずしなければいけない訳ではありませんし、赤字にならないのであれば一度で支払いを済ませてしまっても問題ありません。
しかし、投資を行っている方にとっては知っておくと有利になることが多い会計処理方法です。
法定耐用年数の意味とは?
法定耐用年数とは、10万円以上の固定資産に対して財務省が資産ごとに定めた年数を指し、長期間にわたって使用・収益することが前提の事業用資産(減価償却資産)が対象となります。
防水工事の耐用年数は工事の目的や使用している材料、施工範囲によって異なってくるため、建築施工に関わる図面担当者にしっかりと確認しておく必要があります。
減価償却と法定耐用年数の関係とは?
減価償却を行う際に、「その資産の使用可能期間な全期間で分割」とお伝えしましたが、その際に分割の参考になるのが法定耐用年数の年数です。
法定耐用年数は、使用できる期間を想定して定められているため、定められた年数によって支払いの金額が変わります。
例えば、15年の耐用年数と判断された資産に対しては、15年かけて支払いを行っていきます。
その15年の中で資産価値は少しずつ減少すると予想されるため、支払い額も徐々に減少していきます。
これが減価償却と法定耐用年数の考え方であり、節税を行う上では押さえておくべき知識となります。
防水工事は修繕費で計上した方が節税効果は上がる!
ここまでお伝えしてきた、「資産に対する法定耐用年数で減価償却して節税する」という内容は、「資本的支出」で経費を計上するというのが前提です。
しかし、節税面だけを見るのあれば「修繕費」で計上した方がお得になるケースが多いです。
新たな資本的支出と修繕費という2つの単語が出てきましたが、防水工事の節税を行う上で重要なキーワードとなるため、知識として押さえておくようにしましょう。
修繕費は全額経費に計上できる
修繕費とは、保有している資産に修繕が必要になった場合に支払う費用を指します。
ただし、あくまでも修繕による原状回復が目的で、修繕によって資産の価値が上がるリフォームなどには適用されませんので注意が必要です。
この修繕費は、基本的には全額経費として計上することができるため、防水工事を修繕費にすることで大きな節税効果が見込めます。
資本的支出は経費に計上できない
一方で資本的支出は、資産の価値を高めるために行う工事です。
具体的には
- 資産の使用可能期間を延長させる部分に該当する支出
- 資産の耐久性を増すと認められる支出
- 資産の価値を高める部分に該当する支出
を指し、防水工事では、既存よりも明らかにグレードの高い塗料を使用する、バルコニーの面積を変更するなどが該当します。
このように、工事後の資産価値が工事前より上がった場合には、資本的支出としての経費への計上は認められません。
修繕と同時にリフォームなどを行うにしても、修繕にかかった部分は修繕費として計上できますが、原状回復以上の工事費に関しては資本的支出となります。
防水工事で資産価値を高めながら節税する方法とは?
行いたい防水工事が資本的支出に該当する場合は、経費として計上ができないとお伝えしました。
しかし実は一部例外があり、国税庁が定めるある条件を満たせば資本的支出に該当する工事も、経費として計上することが可能です。
最後に、防水工事において、資産価値を高める工事であっても経費として計上することのできる条件に付いて一緒に見ていきましょう。
20万円以下の工事は修繕費となる
修理・改善にかかった費用が20万円以下の場合は、その内容が明らかに資本的支出であっても修繕費として計上しても問題ありません。
本来であれば資本的支出に該当する工事であっても、20万円以下は修繕費となるため、大きな工事は難しいですが工事内容を選べば資産価値を高めながらも節税することが可能となります。
60万円以下、または取得価額の10%以下は修繕費となる
工事に発生する費用の中で明確に分類できない物に関しては、60万円以下、または取得価額の10%以下であれば修繕費として計上しても問題ありません。
ただし、明確な部分に関しては同じ修理・改善工事であっても別で計上しなくてはなりません。
明らかに固定資産の価値があがるような修理・改善を行った部分に関してはこのルールは適応できませんので注意が必要です。
そのため、防水工事の〇〇に関する費用と工事内容が明らかな場合は適応が難しいですが、分類が不可能な部分に関してなあなあにせず、きちんと申請することで節税効果を高めることができます。