新たに施行される「改正空き家対策特別措置法」とは?
上述の通り、2023年6月7日に国会の参院本会議で「改正空き家対策特別措置法」が可決・成立しました。
この法案は2023年6月14日に公布され、半年以内に施行されることになっています。
参考:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を 閣議決定
これまでも空き家に対する法令として、「空き家対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家対策特別措置法)が2015年に施行されています。
この「空き家対策特別措置法」では、以下のような項目が定められています。
- 空き家の実態調査
- 空き家の所有者へ適切な管理の指導
- 空き家の跡地についての活用促進
- 適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができる
- 特定空家に対して、助言・指導・勧告・命令ができる
- 特定空家に対して罰金や行政代執行を行うことができる
さらに、以下の項目に該当する空き家は自治体が「特定空家」に指定することができると定められています。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「特定空家」に指定されると、倒壊の危険がある建物を修繕するよう、自治体が施主に対して助言・指導、勧告などが行なえるようになります。
さらに、「特定空家」の指定を受けたまま翌年1月1日を迎えると、施主は住宅用地特例による固定資産税や都市計画税の減税が受けられず、税額が最大6倍になるというペナルティも課されます。
加えて、それでも改善が見られず、放置された空家が近隣に被害を及ぼしたり倒壊の危険が高いと自治体に判断された場合は、自治体が行政代執行(取り壊し)を実施できるという権限も与えられていました。
空き家を放置すると起こるトラブルや問題については、こちらの記事で詳しく解説しています。
この「空き家対策特別措置法」は、一見すると空き家対策として非常に効果的な法令のように見えますが、それでも空き家の数は減ることなく増え続けています。
2015年に「空き家対策特別措置法」は施行されましたが、図を見ると2013年から2018年のわずか5年の間に、およそ30万戸の空き家が増えたことがわかります。
これには、たとえ倒壊寸前の空き家であっても自治体にとって「特定空家」に認定するには要件が厳しく、容易に空き家認定できなかったために与えられた行政代執行の権限もあまり意味を為さなかったことが要因の1つとして挙げられます。
その他の空き家が増え続ける原因については、こちらで詳しくまとめていますので併せてご覧ください。
ある民間調査では、2033年頃には空き家の数は2,000万戸以上、日本の全住宅の3〜4割もの住宅が空き家になるとの予測も発表しています。
「改正空き家対策特別措置法」で何が変わる?
それでは、「改正空き家対策特別措置法」が施行されると何が変わるのでしょうか?
今回、この法令によって「特定空家」に加えて「管理不全空き家」という項目が新設されました。
これは、放置が続くと「特定空家」になる恐れがある物件に対して、自治体の判断で「管理不全空き家」に認定できるようになるというものです。
上述の通り、「特定空家」に認定するには要件が厳しいため、その前段階として「管理不全空き家」が設けられた訳ですね。
自治体は「管理不全空き家」の施主に対して指導が可能となり、改善が見られなければ「特定空家」と同じように固定資産税や都市計画税の減税が解除されます。
また、「特定空家」には自治体の判断で行政代執行を実施できますが、「管理不全空き家」は行政代執行の対象外です。
つまり「改正空き家対策特別措置法」は、減税解除の対象を拡大することで空き家の施主に対する税負担のプレッシャーを強め、空き家をしっかり管理させるための制度、と言えるでしょう。
「管理不全空き家」の対象になるのはどんな建物?
「管理不全空き家」については詳しい判断基準が公表されていません。
ただ、定義が「放置が続くと「特定空家」になる恐れがある物件」とされているため、誰も住んでいない状態が数年続いた上で、
- 外壁や屋根に破損・劣化が見られる
- 窓ガラスが割れている
- 庭に雑草が生い茂っている
- 野生動物が棲みついている
といった空き家は「管理不全空き家」に認定される可能性があります。
現在、専門家による試算では、日本全国でおよそ50万戸もの空き家がこの「管理不全空き家」に該当すると予想されています。
「管理不全空き家」になるとどれくらい税金が増える?
「特定空家」、または「管理不全空き家」に認定されると、住宅用地特例による固定資産税や都市計画税の減税が受けられず、税額が最大6倍になると上述しました。
それでは具体的に、減税が受けられなくなるとどれくらい税金は増えるのでしょう?
固定資産税は「課税標準額×税率」で計算しますが、小規模住宅用地(200㎡以下)の場合は土地の固定資産税は6分の1に軽減されます(200㎡を超える場合は3分の1に軽減)。
例えば200㎡の土地で課税標準額が2000万円の場合、2000万×1.7%(税率)で税額は年間34万円となります。
さらに、この34万円が減税によって6分の1になるので、最終的には年間約6万円にまで抑えることができる訳です。
しかし減税が解除されてしまうと、差額の約28万円はそのまま施主の負担となります(負担調整率を考慮しなかった場合)。
月に換算すると毎月2万円以上も税金が増えることになるので、皆様にとって決して無視できない大きな負担となるでしょう。
「管理不全空き家」の認定を避けるために、どう対策する?
当然ながら、空き家を取り壊せば「管理不全空き家」の認定を避けることができます。
しかし、更地にしてしまえば住宅用地特例が受けられず、固定資産税や都市計画税も減税されなくなるので負担増は変わらなくなってしまいます。
さらに、いざ取り壊しを検討しても、戸建て住宅の解体には非常に高額な費用が必要となります。
30坪の鉄骨構造の戸建て住宅の場合、その費用はおよそ100万〜200万円程度と言われています。
「解体したくても費用が高額だからどうにもできない…」というのも、空き家が増え続ける大きな要因となっています。
空き家を取り壊さない場合、「管理不全空き家」の認定を避けるための効果的な対策としては、
- 誰かに貸す or 売る
- 定期的に点検、管理を行う
この2つが考えられます。
誰かに貸す、あるいは売る場合、「移住・住みかえ支援機構」「空き家バンク」など国や自治体が取り扱うサービスに登録して借手・買手を探すと良いでしょう。
しかし、貸す場合も売る場合も、空き家の状態が良くないとなかなか借手・買手は見つかりません。
そうなると、やはり貸し出す・売り出す前からの定期的な管理が重要となってきます。
空き家は放置期間が長くなるほど劣化のスピードも早くなるので、定期的に点検を行い、修繕や掃除といった管理をこまめに行うことが大切です。
ただ、具体的に何をして良いのか、誰に頼めば良いのかわからないのが空き家管理です。
空き家管理を取り扱っている管理業者・不動産管理会社に管理を依頼するのも1つの方法ですが、いずれも費用が高額であったり時間がかかったりと手間も費用もかかってしまいます。
次項で、空き家管理に非常に効果的な、おすすめの空き家対策 『戸住宅管理のサブスクリプション「すみやす」』をご紹介します。
おすすめの空き家対策・空き家管理サービス 『住宅管理のサブスクリプション「すみやす」』
ここで、おすすめの空き家対策・空き家管理サービス『住宅管理のサブスクリプション「すみやす」』をご紹介します。
空き家の管理・点検をサブスクリプションするという新しい考え方。
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※戸建て・マンション管理の料金表
※空き家・空き地管理の料金表
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