空き家が増え続けると財政破綻が起こる?
空き家問題が報じられる際、懸念される問題として一緒によく報じられるのが都市の財政破綻です。
明海大学(現:横浜市立大学)の斎藤広子教授は、「空き家率30%を超えると、自治体は財政破綻の可能性が高まる」と発表されています。
引用:空き家問題予防・解消のための不動産制度上の課題
実際に、2007年に北海道の夕張市が財政破綻を起こしたのを覚えている方も多いと思いますが、この時の夕張市の空き家率は33%でした。
また、日本に住んでいる私たちにはあまり情報が伝わっていませんが、2013年にはアメリカのミシガン州デトロイト市が財政破綻を起こしています。
この時の空き家率は29.3%だったそうです。
やはり、斎藤教授が発表されているように、空き家率30%前後が都市の財政破綻が起こるかどうかのデッドラインとなるようです。
「けど空き家問題なんて、地方だけの話でしょ?」と思われる方もいらしゃるかと思います。
たしかに地方では空き家問題は深刻な問題となっていますが、ある程度の人口を抱えている政令指定都市・都市部でも空き家は年々大きな問題となってきています。
こちらは平成25年度のデータになりますが、全国の政令指定都市の空き家率ランキングです。
1位の大阪市で17.18%と約6軒に1軒は空き家、20位のさいたま市でも9.88%と約10軒に1軒は空き家という計算になります。
思っていた以上に空き家が多いことに驚かれたのではないでしょうか。
さらに、野村総合研究所によると、このまま空き家問題への対策・解決が進まない場合、2033年の日本の空き家率は30.2%、空き家数は約2,150万戸になると予測しています。
引用:野村総合研究所 ニュースリリース
今後、親の家を相続する予定のある方、また相続するかもしれないという方にとって、空き家問題は他人事ではなく当事者となる可能性は大いにあります。
また、空き家問題が発生している原因については、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
都市の財政破綻と聞くと少し他人事のように感じてしまうかもしれません。
次項では、空き家を放置した際に起こりえる身近なトラブル・問題を具体的に見ていきましょう。
空き家を放置すると起こるトラブル・問題・リスクとは?
前項で解説した通り、親の家を相続する予定のある方、また相続するかもしれないという方にとって空き家問題は他人事ではありません。
実際に、空き家を取得した人の半数以上が、相続によって取得しています。
また、相続以外にも取得の理由は様々ですが、空き家を取得した方の多くがその管理の大変さを実感されています。
当然ながら適正に管理、そしてメンテナンスされていない空き家には様々なトラブルや問題が起こり得ます。
全国の空き家で問題となっているトラブル事例を見ていきましょう。
地域に与える外部不経済
空き家が放置されることによって起こるトラブルとして真っ先に浮かぶのが、地域に与える外部不経済です。
外部不経済とは、一般的には企業が公害などの問題を引き起こし、地域住民の生活環境を悪化させる事象を指します。
例えば、一般家庭からでも企業からでも騒音公害があったとすると、近隣住民は不愉快な生活を強いられることになりますが、こういった不利益をこうむることを外部不経済といいます。
管理されず手入れが行き届いていない空き家では、虫やネズミ、野良猫など害虫・害獣の住処となってしまう恐れがあります。
また、雑草が生い茂り死角となる箇所が増えればゴミの不法投棄、あるいはホームレスや犯罪者の不法侵入といった犯罪行為が起こるリスクも高まります。
さらに、放置が続いて老朽化した建物は倒壊・崩壊による危険性があり、これは地震大国の日本では決して無視できないリスクと言えるでしょう。
これらの景観悪化、防災性・防犯性の低下、建物の倒壊・崩壊の危険性は、近隣住民に迷惑をかけてしまう恐れが大いにあり、何か問題があった場合には管理責任を問われることもあり得ます。
実際に、空き家を管理されている方が管理する上で心配されている事柄のほとんどが、これら外部不経済に関することです。
また、上記の図の中にも心配事として「樹木・雑草の繁茂」が挙がっていますが、空き家の庭に生えている樹木や雑草が住宅の境界を越えてしまう恐れがあります。
ここまで紹介した事例と比べると軽微な問題のように思われますが、近隣住民の敷地を侵すことは法律で禁止されています。
雑草程度であれば問題が発覚した時点で刈り取るなど対応できますが、樹木となると処分するのも大掛かりな作業となってしまうでしょう。
最悪の場合、罰金を支払わなければならないといった事態に発展するので、注意していただきたい問題です。
自治体のサービスの質の低下
これは直接的に施主に起こる問題ではありませんが、空き家が増えるということは、当然その自治体の人口が減るということです。
人口、または世帯が減少する自治体では、当然ながら自治体の収入が減るので財政規模が縮小し、公共サービスの質の低下が懸念されます。
また、自治体の自治能力の低下も問題となります。
特に地方で生活する場合、「共助」の考え方が基本となります。
「共助」とは、災害時に自分自身や家族の安全を確保した上で、近所や地域の方々とも助け合うという考え方です。
これは災害時だけでなく、地域の清掃やゴミ置き場の清掃、公園の整備といった日常生活でも同じことが言えます。
人口が減った地域では、一人一人の「共助」における作業量が増えることになり、同時に目が行き届かない部分が増え、ゴミが増えることによる景観の低下、防犯性の低下などが懸念されます。
例えば、建物が10件ある内1件が空き家であれば、残りの9件で1件の空き家管理を手伝うこともできるでしょう。
しかし、空き家が3件に増えれば7件で3件の空き家、つまりおよそ2件で1件の空き家管理を手伝うこととなり、近隣住民に大きな負担を強いることになります。
さらに、自治体は放置されて朽ちてきた空き家の所有者に対して、「空き家をどうするのか?解体するのか?」と働きかけ、「補修して利用したい」という場合も、「解体したい」という場合も補助金を出して補修、あるいは解体作業を行います。
つまり、その自治体に対して何もしていない人に手間・暇がかけられるだけでなく、税金も使われるのです。
適正にしっかり管理している人の税金を使い、管理を放置している人のために税金が使われる。
こういった自治体のサービスの不平等も、空き家問題における懸念材料の1つです。
発生し続ける固定資産税・高額な解体費用
これが施主様にとって最も頭を悩ませる問題となりますが、誰も住んでいない空き家であっても固定資産税はかかり続けます。
固定資産税は、不動産をどう利用しているかに関わらず、毎年1月1日時点でその不動産を所有している人にかかる税金です。
例えば、「地方に親から相続した家を持っているけど、自分の家は都市部に自分で建てた」という人であっても、相続して所有者となっている以上は固定資産税を二重で払わなければいけません。
さらに、「持っていても使ってないし、いっそ解体してしまおうか」と考えても、戸建て住宅の解体には非常に高額な費用が必要となります。
30坪の鉄骨構造の戸建て住宅の場合、その費用はおよそ100万〜200万円程度と言われています。
「解体したくても費用が高額だからどうにもできない…」というのも、空き家を相続した多くの人が抱える問題です。
また、住宅を解体しそのまま土地も売却する予定という方であれば問題ありませんが、「住宅は不要だから解体したいけど、土地はそのまま持っておきたい」という人には新たな問題が発生します。
それが、更地にすると土地にかかる固定資産税は最大6倍、都市計画税は3倍高くなるという問題です。
土地が住宅用地であれば「住宅用地特例」という減税制度の対象となりますが、更地にしてしまうと特例が適用されなくなり、それまで減税されていた分の税金がそのまま上乗せされます。
「空き家を管理するのはお金がかかる…」「解体したいけど、費用が高額すぎる…」「解体したらしたで、税金が高くなる…」など、空き家には様々なお金に関する問題が発生します。
「特定空家」に指定されるリスクが増す
2015年に、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が施行されたことはご存じでしょうか?
この法律では、以下のような項目が定められています。
- 空き家の実態調査
- 空き家の所有者へ適切な管理の指導
- 空き家の跡地についての活用促進
- 適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができる
- 特定空家に対して、助言・指導・勧告・命令ができる
- 特定空家に対して罰金や行政代執行を行うことができる
この「空家等対策特別措置法」によって、以下の項目に該当する空き家は「特定空家」に指定される恐れがあります。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「特定空家」に指定されると、前述の「住宅用地特例」の適用対象外になってしまうため、固定資産税や都市計画税が減税されません。
また最悪の場合、行政代執行が実施されてしまい、強制的に取り壊されるケースもあります。
行政代執行を実施し、空き家を取り壊すかどうかは最終的には自治体の判断となるので一概には言えませんが、「特定空家」に指定されるとそういった事態が起こり得るということはぜひ覚えておいてください。
実際に何をしていいのかわからないのが空き家管理…
ここまで、空き家を放置すると起こるトラブル・問題・リスクについて解説してきました。
空き家問題が発生している原因については、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
ただ、「空き家を適正に管理することの大切さはわかるけど、なかなか実行するのは難しい…」という方も多くいらっしゃると思います。
事実、空き家を管理されている方の2割〜4割程度が、空き家の管理は「年に1回〜数回」というデータもあります。
また、「管理が行き届いていない」と感じてらっしゃる方の4割〜6割程度の空き家に、屋根の変形や傾き、建物のいずれかの部分に腐朽・破損が発生しています。
重要性はわかっているけど、実際に実行するのは難しい、また「何をしていいのかわからない…」というのが空き家管理です。
しかし現実的な問題として、空き家を放置してしまうと施主様にはデメリットしかありません。
空き家を取得した人が経済的な損失が無いように、そして空き家問題に巻き込まれないようにするためには、
- いつでも売家・貸家にできるよう、適切な空き家管理を行う
- 空き家を解体し土地ごと売却する or 空き家の状態が良い内に売却する
の二択となります。
空き家管理には、
・空き家管理を取り扱っている管理業者・不動産管理会社に管理を依頼する
・「移住・住みかえ支援機構」「空き家バンク」など国や自治体が取り扱うサービスに登録して借手を探す
といったものがあります。
しかし、いずれも費用が高額であったり、時間がかかったりと手間も費用もかかる方法です。
次項で、空き家管理に非常に効果的な、おすすめの空き家対策 『戸住宅管理のサブスクリプション「すみやす」』をご紹介します。
おすすめの空き家対策・空き家管理サービス 『住宅管理のサブスクリプション「すみやす」』
ここで、おすすめの空き家対策・空き家管理サービス『住宅管理のサブスクリプション「すみやす」』をご紹介します。
空き家の管理・点検をサブスクリプションするという新しい考え方。
「実家を相続したけど、遠方だし管理が放ったらかしになっている…」
「不動産管理会社に管理を任せると費用がかかる…」
「自分で点検しても何をメンテナンスすれば良いかわからないから、点検はプロの任せたい…」
空き家の管理に対するお悩みは様々ですが、個人ではなかなか手が回らず、不動産管理会社などに依頼すると費用が高額になるのが住宅管理です。
「住宅管理をもっと身近に、もっと気軽に」という想いから生まれた、住宅管理をサブスクリプションするという新しいサービス、それが『すみやす』です。
『すみやす』を選ぶメリット
※戸建て・マンション管理の料金表
※空き家・空き地管理の料金表
空き家は¥390から、戸建ては¥980からの住宅管理
空き家管理サービスを取り扱っている管理業者・不動産会社は数多く存在します。
しかし地域やサービス内容によって異なりますが、それら業者の月額費用は¥7,000~¥15,000円/月程度が相場となっており、年間にしておよそ¥80,000~¥180,000という高額な出費となってしまいます。
一方『すみやす』では、無理の無い月額費用で空き家管理が可能。
さらに、万が一修繕工事が必要となった場合も、割引を受けることができるお得なプランもご用意しています。
「リーズナブルな価格で、安心・安全の建物管理サービスをお届けしたい」、それが『すみやす』の願いです。
徹底点検で安心・安全の空き家管理
『すみやす』では年に一度、住宅の徹底点検・調査を実施しています。
会員であれば、点検・調査にかかる費用はもちろん無料。
もし修理工事が必要になった場合でも、『すみやす』専任の職人があらゆる修理・修繕に対応できます。
お客様にとっては、新たにリフォーム業者を見つける手間も費用もかからないのは大きなメリットです。
さらに、年2回まで出張費無料の緊急時駆けつけサービス、不測の事態にも迅速対応できるよう24時間対応のコールセンターも完備しています。
『すみやす』は信頼と安全の空き家管理を提供します。
専用マイページで空き家の状態管理
『すみやす』では、建物の状態をいつでも確認できる会員専用のマイページを発行しています。
マイページでは、点検の報告カルテ、修復や改装といった過去の工事記録、割引ポイントの利用状況など、詳細情報をチェックすることができます。
お好きなタイミングで住まいの状態・症状をチェックし、修復履歴をきちんと記録しながら管理することで、建物に劣化を抑えつつ、資産価値を保つことが可能となります。