中古マンションのフルリフォーム費用相場は600万円~1,400万円

まず結論からお伝えすると、中古マンションのフルリフォームにかかる費用は、一般的に600万円から1,400万円程度が目安となります。
もちろん、これはあくまで平均的な相場であり、実際の費用は工事の内容によって大きく異なります。
費用感をより正確に把握するためには、リフォームの種類と物件の広さ、そして物件の状態(築年数)という3つの軸で考えることが重要です。
スケルトンリフォームか、表層リフォームかで費用は大きく変わる
フルリフォームと一言で言っても、その内容は大きく二つに分けられます。
一つは、壁紙や床材の張り替え、キッチンや浴室といった設備の交換が中心となる「表層リフォーム」。
もう一つは、内装をすべて取り払って骨組み(スケルトン)の状態にし、間取りの変更や配管・配線の引き直しまで行う「スケルトンリフォーム」です。
一般的に「フルリフォーム」という場合、後者のスケルトンリフォームを指すことが多く、当然ながら費用も高額になります。
表層リフォームが200万円~500万円程度で可能な場合があるのに対し、スケルトンリフォームは冒頭で述べた通り、数百万から1,000万円を超える大規模な出費となる覚悟しておく必要があります。
【広さ別】平米数ごとの費用相場一覧(50㎡・60㎡・70㎡・80㎡)
リフォーム費用を大きく左右するのが、住戸の専有面積、つまり広さです。
当然ながら、面積が広くなるほど必要な材料費や工事費は増加します。
スケルトンリフォームを行う場合の、広さごとの費用相場は以下のようになります。
50㎡台の比較的コンパクトなマンションであれば、おおよそ600万円~900万円。
60㎡台の2LDKなどで一般的な広さになると、800万円~1,100万円。
70㎡台のファミリータイプでは、900万円~1,300万円。
そして80㎡を超えるような広い物件になると、1,000万円~1,400万円以上が目安となってきます。
これはあくまで標準的な仕様の場合であり、後述する設備のグレードや内装材によって、この金額は上下します。
【築年数別】物件の状態で変わる費用傾向(築10年・20年・30年・40年以上)
見落としがちですが、物件の築年数も費用に影響を与える重要な要素です。
特に、給排水管やガス管、電気配線といったインフラ部分の状態が費用を左右します。
築10年程度の比較的新しい物件であれば、既存の配管を流用できるケースも多く、コストを抑えやすい傾向にあります。
しかし、築20年、30年と古くなるにつれて、配管の劣化や現在の基準に適合しない配線などが発見される可能性が高まります。
特に築40年を超えるような物件では、給排水管の全交換や、電気容量を増やすための幹線引き直しといった追加工事が必須となることが多く、その分の費用が数十万円から百万円以上、上乗せされることも珍しくありません。
【工事内容別】フルリフォーム費用の詳細な内訳と単価

高額になりがちなフルリフォームですが、その費用が一体何に使われているのか、詳細な内訳を理解することは非常に重要です。
ここでは、スケルトンリフォームを想定した際の、主な工事内容とその費用目安を解説します。
設計・デザイン料
理想の住まいを実現するための設計図を作成する費用です。
リフォーム会社や設計事務所に支払うもので、工事費全体の10%~15%程度が目安とされています。
単に間取りを考えるだけでなく、構造上の安全性や法規のチェック、内装デザインの提案など、リフォームの根幹を担う重要な役割を果たします。
解体工事費用
既存の内装(壁、床、天井、設備など)をすべて撤去し、コンクリートの躯体だけの状態にするための解体工事です。
工事の規模や廃材の量によって変動しますが、一般的には50万円~100万円程度を見ておくとよいでしょう。
木工事(大工工事)費用
リフォームの中でも大きな割合を占めるのが、大工職人が行う木工事です。
新しい間取りに合わせて壁や天井の下地となる骨組み(軸組)を立てたり、床の下地を組んだり、断熱材を充填したりする工事が含まれます。
工事全体の20%~30%、金額にして150万円~300万円程度が目安となります。
内装仕上げ工事費用
木工事でできた下地の上に、最終的な見た目となる仕上げ材を施工していく工事です。
フローリングやクッションフロア、壁紙(クロス)、塗装、タイルなど、選ぶ材料によって費用は大きく変動します。
特に、無垢材のフローリングや珪藻土、漆喰といった自然素材、デザイン性の高いタイルなどを採用すると、費用は高くなる傾向があります。
住宅設備(キッチン・浴室・トイレ)の交換・新設費用
キッチン、ユニットバス、トイレ、洗面化粧台といった水回り設備の費用と、その設置工事費です。
リフォーム費用の中でも特に変動が大きい部分で、選ぶ製品のグレードによって総額が数百万円単位で変わることもあります。
例えば、システムキッチン一つをとっても、シンプルな機能のものなら50万円程度からありますが、海外製の高級なものや多機能なものを選べば200万円を超えることも珍しくありません。
フルリフォームの費用を安く抑える4つの方法

理想を追求すれば青天井になりがちなリフォーム費用ですが、ポイントを押さえれば賢くコストをコントロールすることが可能です。
ここでは、品質を落とさずに費用を抑えるための具体的な方法を4つご紹介します。
リフォーム会社に「できること・できないこと」を明確に伝える
リフォームで実現したいことの優先順位を家族で話し合い、明確にしておくことが重要です。
「絶対に譲れないこと」と「できればやりたいこと」、「今回は諦めてもよいこと」をリストアップし、設計の段階でリフォーム会社に正確に伝えましょう。
これにより、予算内で最も満足度の高いプランを作成しやすくなります。
設備のグレードにメリハリをつける(こだわり箇所と妥協箇所)
すべての設備を最高グレードにする必要はありません。
例えば、毎日使うキッチンにはこだわるけれど、あまり使わないゲスト用のトイレは標準グレードにする、といったように、お金をかける部分とかけない部分にメリハリをつけるのが賢い方法です。
シンプルな内装・間取りを心掛ける
複雑な間取りや凝った造作家具は、大工工事の手間が増え、費用が上昇する原因になります。
将来のライフスタイルの変化にも対応しやすい、できるだけシンプルで可変性のある間取りを基本に考えることで、コストを抑えることができます。
施主支給(設備や建材を自分で購入)を検討する
キッチンや洗面台、照明器具、ドアノブといった設備や部材を、リフォーム会社を通さずに自分で購入して支給する施主支給を検討する方法です。
インターネットなどで安く購入できれば、その分コストを削減できます。
ただし、製品保証の所在が曖昧になったり、施工の手間が増えて工事費が割高になったりするリスクもあるため、必ず事前にリフォーム会社に相談し、許可を得る必要があります。
知らないと損!リフォームで使える補助金・減税制度
国や地方自治体は、質の高い住宅ストックの形成を促すためにリフォームに関する様々な支援制度を用意しているので、これらを活用しない手はありません。
ここでは、利用できる可能性のある代表的な制度をご紹介します。
子育てエコホーム支援事業|省エネ・子育て世帯向け
省エネ性能を高めるリフォームや、子育て世帯向けのリフォームに対して補助金が交付される子育てエコホーム支援事業は、国の事業です。
断熱改修や高効率給湯器の設置、家事負担を軽減する設備の導入などが対象となります。
予算の上限に達し次第終了となるため、早めの情報収集と申請が鍵となります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業|住宅性能の向上
住宅の寿命を延ばし、性能を向上させるためのリフォームを支援する長期優良住宅化リフォーム推進事業は、比較的高額な補助が受けられる可能性があります。
耐震改修や省エネ改修、三世代同居対応改修などが対象となり、求められる性能基準も高いため、計画段階から専門家と相談して進める必要があります。
各自治体のリフォーム補助金制度(お住まいの地域名で検索)
国だけでなく、お住まいの市区町村が独自にリフォーム補助金制度を設けている場合があります。
「(市区町村名) リフォーム 補助金」といったキーワードで検索し、自治体のサイトを確認してみましょう。
耐震化やバリアフリー化、省エネ化など、自治体によって対象となる工事は様々です。
まとめ:満足度の高いフルリフォームは計画的な資金準備から
中古マンションのフルリフォームは、新築同様の住まいを、より自分らしく、そして場合によっては新築よりもリーズナブルに手に入れることができる、非常に魅力的な選択肢です。
しかし、その成功は、いかに計画的に資金の準備と配分を行えるかにかかっています。
まずは、本記事でご紹介した費用相場や内訳を参考に、ご自身の計画のおおよその予算感を掴むことから始めてみてください。
そして、複数のリフォーム会社から話を聞き、相見積もりを取ることで、その予算感が現実的なものであるかを確認していくことが重要です。
信頼できるパートナーとなるリフォーム会社を見つけ、理想と予算のバランスを取りながら、後悔のない住まいづくりを実現してください。



















