まずは国の大型補助金「住宅省エネ2025キャンペーン」を理解しよう

2025年のリフォーム補助金を語る上で、絶対に欠かせないのが、経済産業省、国土交通省、そして環境省の3省が連携して実施する「住宅省エネ2025キャンペーン」です。
これは、複数の補助金事業を一つにまとめた、国の一大プロジェクトです。
まずは、このキャンペーンの全体像を把握することが、補助金活用のための最も重要な第一歩となります。
2024年の後継事業!3つの補助金をまとめて実施
このキャンペーンは、2024年に実施され好評を博した「住宅省エネ2024キャンペーン」の後継事業と位置づけられています。
具体的には、「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ事業」「給湯省エネ事業」という、目的の異なる3つの補助金事業で構成されています。
これらの事業は、それぞれが独立していると同時に、連携して利用することも想定されており、利用者はリフォームの内容に応じて、最適な補助金をワンストップで申請できる仕組みになっています。
内装リフォームに最も関係が深いのは「子育てエコホーム支援事業」
3つの事業の中で、壁の断熱やバリアフリー改修、家事を楽にする設備の導入など、一般的な内装リフォームに最も幅広く関連するのが「子育てエコホーム支援事業」です。
窓や給湯器といった専門的なリフォームだけでなく、内装に関わる様々な工事が補助の対象に含まれる可能性があるため、内装リフォームを検討するほとんどの方が、まずこの事業を軸に考えることになるでしょう。
注意!単なる壁紙の張り替えだけでは対象外に
ここで一つ、非常に重要な注意点があります。
これらの補助金は、あくまで住宅の「省エネ性能の向上」や「機能向上」を目的としています。
そのため、デザイン性を高めるためだけの、例えば壁紙やフローリングの張り替えといった工事単体では、補助金の対象にはなりません。
補助金を受けるためには、後述する断熱改修などの「必須工事」を行うことが絶対条件となるのです。
子育てエコホーム支援事業で内装リフォームをお得に!

それでは、内装リフォームの補助金の中心となる「子育てエコホーム支援事業」について、その詳細を具体的に見ていきましょう。
名称に「子育て」とありますが、リフォームに関しては全ての世帯が対象となる、非常に使い勝手の良い制度です。
誰が対象?リフォームは全世帯が対象!
この事業の大きな特徴は、新築の場合は「子育て世帯・若者夫婦世帯」に限定されますが、リフォームに関しては、世帯や年齢を問わず、全ての人が対象となる点です。
持ち家をリフォームする方はもちろん、賃貸住宅の所有者も対象となります。
ただし、子育て世帯などがリフォームを行う場合には、補助金の上限額が引き上げられるといった優遇措置が設けられる可能性があります。
対象となる工事は?省エネ改修が必須条件
補助金の対象となる工事は、大きく分けて「必須工事」と「任意工事」の2種類があります。
補助金を受けるためには、まず必須工事の中からいずれかを行うことが絶対的な条件となります。
必須工事:窓・壁の断熱、エコ住宅設備の設置など
必須工事として定められているのは、住宅の省エネ性能を高めるための基本的な改修です。
具体的には、ガラス交換や内窓設置といった「開口部の断熱改修」、外壁や床、天井に断熱材を入れる「断熱材の改修」、そして高断熱浴槽や節水型トイレ、高効率給湯器などを設置する「エコ住宅設備の設置」などが挙げられます。
これらのうち、いずれか一つ以上を実施することが、補助金申請のスタートラインとなります。
任意工事:必須工事と同時に行うことで対象になる内装関連工事
そして、上記の必須工事と「同時」に行うことで、初めて補助金の対象となるのが「任意工事」です。
こちらに、内装リフォームに関連する多くの工事が含まれています。
例えば、防音性能を高めるための床や壁の工事、将来に備えるための手すりの設置や段差の解消といったバリアフリー改修、そしてビルトイン食洗機や掃除しやすいレンジフード、浴室乾燥機といった家事の負担を軽減する設備の設置などが該当します。
つまり、「窓の断熱工事(必須)と一緒に、キッチンの食洗機を設置する(任意)」といった組み合わせで、両方の工事が補助対象になる、という仕組みです。
いくらもらえる?補助額と上限(最大20〜30万円が目安)
補助額は、実施する工事の内容や設備の性能ごとに細かく定められており、その合計額が交付されます。
2024年の制度では、リフォームの場合、一戸あたりの補助上限額は原則として20万円でした。
ただし、特定の条件を満たすと上限が30万円、あるいは60万円まで引き上げられるケースもありました。
2025年の制度でも、同様の考え方が踏襲されると予想されます。
なお、申請する補助額の合計が5万円未満の場合は申請できないため、注意が必要です。
いつからいつまで?申請期間と予算上限に注意
国の補助金事業は、国会で予算が承認されてから正式に開始されます。
例年の傾向から、毎年春頃から事業者登録や交付申請の受付が始まります。
そして、最も重要なのが「予算」の存在です。
この補助金は、国が確保した予算の上限に申請額が達した時点で、期間中であっても受付が終了してしまいます。
人気の補助金は、秋頃には予算が尽きてしまうことも珍しくありません。
リフォームを検討しているなら、早めに情報収集と準備を始めることが成功の鍵となります。
【専門特化型】窓・給湯器の交換ならこちらの補助金も!
もしあなたのリフォーム計画が、断熱性能の高い窓への交換や、省エネ性能に優れた給湯器への交換がメインである場合、「子育てエコホーム支援事業」よりも、さらに手厚い補助が受けられる専門特化型の制度を利用できる可能性があります。
先進的窓リノベ2025事業:内窓設置や窓交換で最大200万円
これは、住宅の断熱性能に最も影響を与える「窓」のリフォームに特化した補助金です。
断熱性能のグレードに応じて補助額が設定されており、工事費用の2分の1相当など、非常に高い補助率が魅力です。
一戸あたりの補助上限額も最大200万円と、他の制度に比べて非常に高額に設定されています。
冬の寒さや夏の暑さ、そして結露に悩んでいる方にとっては、まさに決定版とも言える補助金制度です。
給湯省エネ2025事業:高効率給湯器の導入を強力にサポート
家庭のエネルギー消費の中でも大きな割合を占める給湯。
この分野の省エネ化を促進するのが「給湯省エネ2025事業」です。
家庭用燃料電池(エネファーム)や、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)といった、非常に高い省エネ性能を持つ給湯器の導入に対して、定額が補助されます。
補助額は機種によりますが、10万円を超える高額な補助が期待できます。
併用は可能?ワンストップ申請の仕組み
「子育てエコホーム」と「先進的窓リノベ」は、併用が可能です。
例えば、窓の交換は「先進的窓リノベ」を使い、キッチンの食洗機設置は「子育てエコホーム」を使う、といった形で、それぞれの制度の”良いとこ取り”ができます。
ただし、一つの工事に対して両方の補助金を二重に受け取ることはできません。
これらの申請は、事業者が一つの窓口からまとめて行える「ワンストップ申請」の仕組みが用意されており、利用者にとって分かりやすい制度設計となっています。
長期優良住宅化リフォーム推進事業

ここまでは「住宅省エネキャンペーン」について解説してきましたが、国のリフォーム補助金には、もう一つ大きな柱があります。
それが「長期優良住宅化リフォーム推進事業」です。
これは、住宅の寿命を延ばし、長く快適に住み続けられるようにするための、より本格的で大規模なリフォームを支援する制度です。
対象となる工事:耐震改修、省エネ改修、三世代同居対応改修など
この事業は、単なる設備の交換だけでなく、住宅の性能そのものを向上させる工事を対象としています。
具体的には、地震に備えるための「耐震改修工事」や、断熱材の追加や窓の交換といった「省エネ改修工事」が必須となります。
その上で、親・子・孫の三世代が同居しやすくなるための間取り変更や、インスペクション(住宅診断)で指摘された箇所の補修なども補助の対象となります。
補助額:工事費用の1/3、最大100万円以上も
補助額は、かかった工事費用の3分の1と、非常に高い補助率が特徴です。
補助上限額は、住宅の性能に応じて原則100万円から200万円と高額に設定されています。
複数の工事を組み合わせて、住宅全体の性能を根本から見直したい、という方にとっては、非常に魅力的な補助金と言えるでしょう。
ただし、工事前にインスペクションを行うなど、申請のハードルはやや高めです。
お住まいの「自治体(都道府県・市区町村)」独自の補助金
国の制度にばかり目が行きがちですが、実はあなたが住んでいる都道府県や市区町村が、独自のリフォーム補助金制度を用意しているケースも少なくありません。
国の制度との併用が可能な場合も多く、活用できればさらに費用を抑えることができます。
これは、リフォームを検討するすべての方が、必ずチェックすべき重要なポイントです。
どうやって探す?「〇〇市 内装リフォーム 補助金」で検索
自治体の補助金情報を探す最も簡単な方法は、インターネット検索です。
お住まいの「市区町村名」に続けて、「リフォーム 補助金」や「住宅改修 助成金」といったキーワードを組み合わせて検索してみてください。
多くの場合、自治体の公式ホームページ内にある、補助金制度の一覧や案内ページが見つかるはずです。
自治体補助金の例:耐震診断・改修、バリアフリーリフォーム、地元産木材の使用など
自治体が行う補助金は、その地域が抱える課題に応じて、多種多様なメニューが用意されています。
例えば、高齢化率の高い地域では「高齢者向け住宅改修助成」、地震のリスクが高い地域では「耐震診断・改修補助」が手厚くなっています。
また、地域の産業振興を目的として、「地元産の木材を使用した内装リフォーム」に補助金を出すユニークな制度もあります。
国の補助金との併用可否を確認しよう
自治体の補助金を見つけたら、次に確認すべきは「国の補助金と併用できるか」という点です。
多くの場合は、同じ工事箇所でなければ併用可能とされていますが、自治体の方針によってルールは異なります。
例えば、国の補助金で窓を、自治体の補助金で耐震改修を、といった使い分けができるかもしれません。
詳細は、自治体の担当窓口や、地域の事情に詳しいリフォーム会社に確認してみましょう。
補助金申請の注意点と成功させるための5つのステップ

補助金は、ただ待っているだけ、あるいは知っているだけでは、決して受け取ることはできません。
制度を正しく理解し、適切な手順を踏んで、計画的に進めることが成功の絶対条件です。
ここでは、補助金申請を成功させるための具体的なステップと、絶対に押さえておくべき注意点を解説します。
STEP1:まずは補助金に詳しいリフォーム会社を探す
これが最も重要なステップです。
国の補助金の多くは、個人が直接申請するのではなく、事務局に登録された「登録事業者」であるリフォーム会社が申請手続きを代行します。
つまり、補助金の知識が豊富で、申請手続きに慣れている会社をパートナーに選べるかどうかが、成功の9割を決めると言っても過言ではありません。
会社のホームページで補助金の活用実績などを確認し、複数の会社に相談してみましょう。
STEP2:対象となる工事内容でリフォームプランを立てる
リフォーム会社と相談しながら、補助金の対象となる工事を組み込んだリフォームプランを作成します。
例えば、「キッチンの交換が一番の希望だけれど、それだけでは補助金が出ない。それなら、この機会にずっと気になっていたリビングの窓を内窓にして、補助金を活用しよう」といったように、賢くプランを組み立てていくことが重要です。
STEP3:申請手続きは業者が代行!必要書類を準備する
リフォームプランと見積もりが固まったら、事業者を通じて補助金の「交付申請」を行います。
申請そのものは事業者が行いますが、本人確認書類や工事請負契約書の写しなど、あなたが準備しなければならない書類もあります。
事業者の指示に従い、スムーズに提出できるようにしましょう。
STEP4-:交付決定後に工事スタート
補助金の申請が事務局に受理され、「交付決定」の通知が届いてから、初めて工事をスタートできます。
交付決定前に工事に着手してしまうと、補助金が受けられなくなってしまうため、絶対に順番を間違えないようにしてください。
このスケジュール管理も、信頼できる事業者であれば、きちんと案内してくれます。
STEP5:工事完了後に実績報告を行い、補助金が振り込まれる
工事が完了したら、再び事業者を通じて事務局へ「完了実績報告」を提出します。
その内容が審査され、不備がなければ、補助金が事業者に振り込まれます。
そして最終的に、事業者からあなたへ補助金が還元される、という流れが一般的です。
予算が尽きれば即終了!早めの行動が鉄則
最後に、最も重要な注意点をもう一度お伝えします。
国の補助金は、潤沢に見えても必ず「予算」という上限があります。
申請額がその上限に達した瞬間に、受付は締め切られてしまいます。
2024年のキャンペーンでも、人気の補助金は秋口には予算上限に達しました。
2025年も同様の状況が予想されます。
リフォームを少しでも検討しているなら、まずは情報収集からでも、一日でも早く行動を開始することが何よりも大切です。
まとめ:補助金活用は情報戦!信頼できるパートナー探しから始めよう
内装リフォームの補助金は種類が多く、要件も複雑で、毎年少しずつ変化するため、全てを完璧に理解するのは難しいと感じられたかもしれません。
しかし、上手に活用すれば、リフォーム費用を数十万円単位で抑えることができる、非常に強力な味方になることも事実です。
補助金活用を成功させるために、あなた自身が専門家になる必要はありません。
最も重要なのは、これらの補助金制度に精通し、あなたの代わりに煩雑な手続きを正確に行ってくれる、信頼できるリフォーム会社をパートナーに見つけることです。
ぜひ、この記事を参考に、まずは複数のリフォーム会社に「補助金を活用したリフォームの相談がしたい」と問い合わせてみてください。
あなたの希望するリフォームで、どの補助金が、いくらくらい使えそうなのか。
具体的な見積もりと合わせて提案をもらうこと。
それが、お得で満足のいくリフォームを実現するための、最も確実な第一歩となるでしょう。



















