そもそも外壁塗装・屋根修理におけるお茶出しとは?
外壁塗装・屋根修理をリフォーム業者に依頼したお客様の立場としては、「夏の暑い中、冬の寒い中で作業をしてもらうんだから、お茶出しくらいした方がいいんじゃないか?」と考える方も多くいらっしゃるでしょう。
お茶出しとは、外壁塗装・屋根修理に限らずあらゆる場面で見られる風習です。
国によって意味合いは様々ですが、日本では「わざわざ足を運んでくれた方に対して、のどの乾きを潤してもらい、くつろいでもらう」というおもてなしの心が込められています。
相手に対して最大限の礼を尽くそうという点では極めて日本的な風習・文化と言えるかもしれませんね。
一般的なビジネスシーンでは来客に対して正しい順番、タイミングでお茶を出しますが、外壁塗装・屋根修理においては足場や屋根の上で作業している職人さんに急須でお茶を出すといったことは現実的に厳しいです。
そのため外壁塗装・屋根修理におけるお茶出しとは、10時と15時の休憩時間にお茶を出す、あるいは缶・ペットボトルの飲み物を差し入れすることを指す場合が多いです。
いずれの場合でも、お客様による職人に対しての労いの気落ちが込められており、職人にとって差し入れは嬉しいものであり、お茶出しをしてもらって嫌な気持ちになる職人はまずいないでしょう。
外壁塗装・屋根修理でお茶出しが不要な3つの理由とは?
前項で、「職人にとって差し入れは嬉しいもの」とお伝えしましたが、それでもやはり外壁塗装・屋根修理においてお茶出しは不要です。
実際、お客様に気を遣わせないように着工前の時点で「お茶出し不要」と伝えているリフォーム業者も数多く存在します。
どうして外壁塗装でお茶出しが不要なのか、その理由を3つ解説します。
お客様と業者の関係性が変わってきた
一昔前まで外壁塗装や屋根修理などの住まいの工事は、地元の職人さんや大工さんに行なってもらうのが一般的でした。
自分の知り合い、あるいは知人からの紹介によって知り合った職人さんや大工さんに施工してもらうといった、非常に近い関係性だったのです。
そのため、施工に対する日頃の感謝の気持ちとして、あるいは世間体や紹介してくれた人の顔を汚さないために、お茶出しが習慣となっていった訳です。
しかし時代は変わり、上記のような知人、あるいは紹介によってリフォーム業者を探す人は今では少数派となりました。
現在では多くの方が、インターネットを使ってゼロから業者を探して契約を交わし、リフォーム工事をお願いしているというケースがほとんどです。
もしかすると一昔前は職人側でも「〇〇さんの紹介の〇〇さんのお宅ではお茶も出てこない」といった話をしていたのかもしれません。
しかし時代は変わり、お客様と職人の間には知人や紹介など他の誰も介さず、あくまでも契約上の付き合いのみです。
そのため、「〇〇さんの紹介の職人さんだし、お茶くらいは出さないと」といったような近い関係性だからこその過剰な気遣いは不要となっているのです。
お茶出しの有無で工事の品質は変わらない
「昔の職人は頑固で気難しい」というイメージをお持ちの方も多くいらっしゃいます。
そのため、「お茶出しくらいしないと機嫌を損ねてしまうかも…」と心配される方もいらっしゃいますが、この点も心配ありません。
前項で解説した通り、一昔前までリフォーム業者を探す際は知人であったり紹介であったりと近しい関係にありました。
しかし現在ではインターネットによる検索が主流となっており、業者にとっても評判やクチコミは集客の上で非常に重要なものになっています。
そのため、お茶出しが無いくらいで機嫌を損ねて工事の品質が落ちるような業者は、厳しい競争の中で勝ち残ってはいけないでしょう。
そもそも、リフォーム工事は「契約」であり、お茶出しは「心遣い」です。
契約を交わした以上、何があろうと交わした契約通りの工事をしっかり行うべき責任が業者にはあり、お茶出しの有無は工事の仕上がりには一切影響を及ぼさないものです。
むしろ、お茶出しの有無で仕上がりに違いが出てくるような業者はプロとしては完全に失格です。
現在では「昔の職人は頑固で気難しい」といったイメージは払拭され、お客様への挨拶やマナー、礼儀を徹底しているリフォーム業者の方が多数です。
「職人さんの機嫌を損なわないように…」と難しく考える必要はありませんのでご安心ください。
お客様と職人、互いに気を遣わずに済む
外壁塗装や屋根修理などの住まいの工事は、一般的には朝8時から作業が始まり、17時に作業を終えます。
そのため、午前の8時〜12時の中間である10時、午後の13時〜17時の中間である15時に休憩を挟む業者が多いです。
そのためお茶出しをしてくれるお客様は、職人の休憩時間である10時と15時を見計らってお茶を持ってきてくださいます。
しかし、10時と15時に休憩するというのはあくまでも目安であり、時間になったら必ず休憩に入るという訳ではありません。
「このままこの一面はすべて塗り切ってしまいたい」など、工事の進捗によって時間が前後することも多いです。
そのため、10時と15時にお客様から声をかけられると職人としては「ご厚意を断ることはできない」と作業の手を止めざるを得ない場合もあるのです。
また、外壁と屋根の一軒丸ごとの塗装工事となると、工期が半月を超えることもあります。
お客様の側としても、施工開始から数日の内は問題ありませんが、やはり日にちが経ってくると決まった時間のお茶出しが手間に感じるようになってくるものです。
そんな中で、休憩時間だと思い足場の下から「10時なので休憩してください」と声をかけても、上述のような理由から職人が手を止めず足場から降りてこないと気分の良いものではありません。
さらに、せっかく夏には冷たいもの、夏には熱いものを用意してくださっても、職人とタイミングが合わなければぬるくなったり冷たくなってしまうので残念な気持ちになってしまうでしょう。
お客様が職人に対して気を遣ってくださっているのは、職人も充分に理解し感謝しています。
しかし、せっかくの気遣いが互いの都合や事情から気苦労に変わってしまえば非常に残念です。
一昔前までは「お茶出ししてもらって当たり前」といったような昔気質の失礼な職人も多かったかもしれません。
しかし現在では、お客様には可能な限り不便をかけず、いつも通りの生活を送ってほしいと考えている業者の方が多いです。
工事期間中も互いにいつもと変わらず気持ち良く過ごすためにも、「お茶出しは不要」というルールを先に決めておいた方が良いでしょう。
業者・職人への差し入れとしておすすめの方法3選
前項までで「外壁塗装・屋根修理では基本的にお茶出しは不要」とお伝えしました。
しかし住まいの工事は、言い換えればお客様と職人での人付き合いでもあります。
そのため、感謝の気持ちを表すためにも「不要とは言っても、やっぱり多少は何かしてあげたい」と考えてくださる方も多いです。
そんな方のために、ここでは業者・職人への差し入れとして、おすすめの対応方法を3つご紹介します。
ただし、ここでご紹介する方法も毎日やる必要は決してありません。
あくまで皆様に無理の無い範囲で行なっていただくだけで、職人への気遣いは充分に伝わります。
飲み物は缶・ペットボトルが無難
まず、差し入れるものですが、やはり飲み物が一番人気です。
特に夏場は暑い中での作業となるので、大量に汗をかいた職人に飲み物は非常に喜ばれます。
飲み物の種類はお茶が無難で、コーヒーも職人には嬉しいでしょう。
また、飲み物を差し入れる時は缶、あるいはペットボトルの方が良いでしょう。
コップや椀に入れて出すと職人も「飲み切らないと」と思ってしまいますが、缶やペットボトルであれば職人の好きなタイミングで好きなだけ飲むことができます。
上述で解説したように、職人は自分たちのペースで作業を進めたいという場面も多いので、好きなタイミングで飲めるペットボトルは作業の進捗の上でもメリットがあるのです。
差し入れを置く場所を決めて職人に伝えておく
せっかくの差し入れなので、「ご苦労様です」という言葉を添えてご自身で職人に渡したいと考える方もいらっしゃいます。
しかし、手渡しで渡すよりも玄関先や足場の下など差し入れを置く場所を決めておいて、事前に職人に伝えておく方がメリットが多いです。
差し入れ場所を決めておくことで、10時や15時などお客様ご自身も時間に縛られることがありません。
時間を気にすることなく、ご自身のペースでいつも通り過ごしていただけます。
また、差し入れた飲み物の中で減っているものと残っているものがわかるので、職人に聞かなくても買い足しておくべき飲み物(職人の好み)を把握することもできるでしょう。
インターネットで検索すると、「飲み物をクーラーボックスに入れて置いておくのがおすすめ」といった記事をよく目にします。
ただ正直なところ、そこまでする必要は全く無いと考えます。
そもそも、必ずしもクーラーボックスを誰しもが持っている訳ではありませんし、飲み物を差し入れてもらうだけで充分にお客様の気遣いは職人に伝わっています。
「冷たいものは冷たいまま飲んでほしい」といった気遣いをされる方もいらっしゃいますが、実際には飲み物を買ったビニール袋などにそのまま入れて置いておいていただけるだけでも充分すぎるのです。
お菓子など食べ物は避けた方が良い
お菓子も差し入れとしては人気ですが、種類によっては夏場は痛みやすいものもあります。
また、作業の進捗によっては忙しくゆっくり食べる暇が無い場合もあります。
職人も「せっかく差し入れしてもらったものを残すのは申し訳ない…」と気を遣ってしまう面もあるので、差し入れは飲み物だけにしておいた方が良いです。
一昔前は、職人のために食事まで準備する方もいらっしゃいました。
しかしそれらは今となっては過剰な気遣いです。
お客様と職人、互いに気を遣い過ぎることがないよう、お菓子など食べ物は避けた方が良いでしょう。
お茶出し以外の業者・職人への気遣いについて
お茶出し・差し入れ以外にも、職人に対して色々と気を遣う部分があります。
まず代表的なものとして、「工事期間中は職人にトイレを貸してあげるべきか?」ですが、こちらも気遣い不要です。
昔と違い、今はどんな現場であっても車で少し走ればコンビニがあり、そちらのトイレを利用することができるからです。
また、職人にトイレを貸すということは、日中もお客様が在宅していないといけなくなるので、生活にご不便をおかけすることにもなります。
トイレに関してお客様の方で何かご準備いただくことはありませんのでご安心ください。
また、一昔前まではお支払いになった工事代金とは別で、「寸志」「心付け」として現金を職人に渡すという風習がありました。
こちらも施工してくれた職人に対しての感謝の気持ちを表す心遣いですが、これらも当然不要です。
「お客様から現金を頂くのは良くない」という理由から、「寸志」「心付け」を頂くことを禁止しているリフォーム業者もあるくらいです。
ご用意されても受け取ってもらえないケースもありますし、現代において現金を頂くのはやはり過剰な心遣いですので、何かしたいという方も前項でご紹介した差し入れ程度に留めておくのがおすすめです。
外壁塗装・屋根修理にお茶出しって必要? まとめ
外壁塗装・屋根修理に関するお茶出しについて解説してきました。
解説の通り、基本的に外壁塗装・屋根修理では職人へのお茶出しは不要です。
お茶出しをしないことで、お客様と職人の双方で互いに気を遣わずに済むといったメリットが生まれます。
しかし、住まいに関する工事はお客様と職人との人付き合いといった側面もあるため、「何かしてあげたい」と考えてくださる方も多くいらっしゃるのも事実です。
そんな時は、無理のない範囲で飲み物を差し入れる程度に留めておきましょう。
職人は、「外壁塗装の仕上がりでお客様に喜んでもらいたい」「責任を持って、屋根をお預かりした工事代金に見合った仕上がりにする」といった気持ちで日々の業務に臨んでいます。
お茶出しの有無で仕上がりが変わることは決してありませんし、仕上がりを見てお客様が笑顔になっていただくことが何よりのお返しです。
リフォーム工事を依頼していただいただけで職人にとっては非常にありがたいことですので、気軽に工事を迎えるようにしましょう。