外壁塗装・屋根修理では助成金・補助金を受け取れる場合がある
外壁塗装や屋根修理は、場合によっては総額で100〜150万円前後必要となり、住宅に関する各種リフォームの中でも高額な部類とされています。
そこでうまく活用できるのであればぜひ使っていただきたいのが、「住まいのリフォームに関する助成金・補助金制度」です。
お住まいの地域や制度によって異なりますが、工事の内容によっては最大20万円程度の助成金や補助金を受け取れるケースもあります。
外壁塗装・屋根修理の助成金や補助金は、お住まいの市区町村といった各自治体からの支給となります。
そのため、まずはご自身がお住まいの自治体で外壁塗装・屋根修理に関する助成金や補助金があるのかどうかを確認する必要があります。
自治体によっては外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金制度を設けていないケースも多いです。
「隣の市には助成金があるのに、自分の住んでる市には無い」といったケースも多いので、まずは制度の有無の確認をしましょう。
ちなみに、リフォームに関する助成金の中には国が行なっている制度もありますが(耐震リフォームなど)、外壁塗装・屋根修理に関しては国が行なっている助成金・補助金というものは存在しません。
また、自治体が助成金・補助金制度を設けている場合でも、その適用条件や助成金額は自治体によって異なるので、条件や費用の確認も忘れないようにしましょう。
併せて注意しておきたいのは、自治体は毎年必ず外壁塗装・屋根修理に関する助成金・補助金制度を設けている訳でないという点です。
前年度は制度があったのに今年は無い、というケースもあればその逆で、去年まで無かったのに今年から制度が始まった、というケースもあります。
さらに、前年度までとは条件や補助金額が変更しているという場合もあるので、利用したい年度に合わせてその都度確認するようにしましょう。
また、近年インターネット上で、「助成金で外壁塗装がこんなに安くなる!」「知らないと損する屋根修理の助成金!」といった内容の広告を目にします。
しかし上述のように、受け取れる助成金は工事につき最大20万円程度です。
広告が喧伝するように「助成金で外壁塗装の費用が140万円→75万円に!」「助成金で屋根修理が実質0円でできた!」といったことはあり得ません。
こういった広告は誇大広告であり、皆さんを自社サイトへ誘導するための釣り広告です。
このような広告を出す業者は悪徳業者である可能性が高いので注意するようにしましょう。
外壁塗装や屋根修理の「助成金で安くなる」は詐欺?悪徳業者にご注意を!
外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金で受け取れる金額の目安は?
では、外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金ではどれくらいの金額が受け取れるのでしょうか?
実際の金額は各自治体によって異なりますが、ほとんどの場合で20万円以下となります。
例えば東京都品川区の令和3年度における「品川区住宅改善工事助成事業」であれば、
・遮熱性塗装を使用した外壁塗装・屋根塗装
・工事費用(消費税抜きの額)の10%(上限20万円)
と定められています。
自治体による助成金・補助金には上記のように「補助率」と「上限額」が定められているのが一般的です。
上記の例であれば、「補助率」とは「工事費用(消費税抜きの額)の10%」の部分、「上限額」は「上限20万円」となります。
また、外壁塗装・屋根修理で助成金・補助金を受け取るためには、省エネ関連の工事であるかどうかが重要なポイントとなります。
上記の例のように遮熱性塗装を使用した外壁塗装、または断熱塗装などが該当します。
これは、「税金は特定の個人に恩恵を与える使い方ができない」という原則に則っているためです。
自治体の補助金制度は税金によって賄われていますが、自治体が制度を立ち上げる際にはそもそも「個人に恩恵を与える使い方」以外の大義名分が必要となります。
そこで、現在は日本に限らず世界中で二酸化炭素(CO2)の削減、脱炭素が叫ばれているため、省エネにつながる工事であれば制度を立ち上げやすい・補助が出やすいという背景があるのです。
そのため、外壁塗装の助成金・補助金の対象となるのは一般的な塗り替えではなく、住まいの省エネに関わる工事が対象となるものが多いです。
ただしこれは首都圏や都心部など比較的大きな市区町のケースで、少子化問題・空き家問題が叫ばれる地方では一般的な外壁塗装・屋根修理でも助成金・補助金の対象となる場合もあります。
これはテレワークなどの影響で地方への移住を考える人が増えたため、「こちらの自治体へ移り住んできてくれた人には、リフォームに関する工事の一部を補助します」といった内容になります。
例えば地方の空き家へ移住した場合、その空き家の塗り替えや屋根の修繕を含むリフォーム工事に関わる工事費用を補助するという訳ですね。
こちらも目的としては個人の利益ではなく、地域活性化・地域貢献を目的とした制度となるのです。
このように、自治体によって条件や金額も異なる外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金ですが、遮熱塗料・断熱塗料などエコな建材を使用することが条件となっている場合には注意が必要です。
なぜなら、遮熱塗料・断熱塗料を使用する塗り替えは、一般的な塗装工事に比べると費用が割高になります。
助成金・補助金を受けることで工事の費用が予算内に収まれば利用すべきですが、助成金・補助金で補える金額が遮熱塗料・断熱塗料を使用することで割高になった費用を超える場合も少なくありません。
予算との兼ね合いで制度の利用が難しい場合であれば、通常の建材にとどめておいて助成金・補助金は利用しないというのも一つの選択肢になるでしょう。
いずれの場合でも、外壁塗装・屋根修理ならどんな工事でも助成金・補助金が受け取れる訳ではない、お得になる訳ではないと覚えておきましょう。
各自治体の外壁塗装の助成金・補助金制度の探し方について
ご自身がお住まいの各自治体において、外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金があるかどうかを調べるには以下の4つの方法があります。
1.「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を利用する
2.各自治体のホームページを確認する
3.各自治体の役所窓口で相談する
4.リフォーム業者に相談する
「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を利用する
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を利用すれば、各自治体のリフォーム関連の助成金・補助金を簡単に調べることができます。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会
こちらのサイトでは外壁塗装・屋根修理以外の助成金・補助金も数多くあるので、ここでは例として外壁塗装の助成金・補助金を探す方法を具体的に解説します。
まずサイトのトップページから、「制度内容で探す」の中から支援分類は「(3)省エネルギー化」、支援方法は「①補助」を選択しましょう。
そしてお住まいの都道府県を選択肢して「検索」をクリックします。(ここでは例として東京都を選んでいます。)
すると選択肢した都道府県の助成金・補助金一覧が表示されるので、その中からご自身がお住まいの市区町村を見つけ、さらにその中に塗装に関する助成金・補助金があるかを確認します。
もし塗装に関する助成金・補助金があれば、制度名をクリックすることで詳細を確認することができます。(ここでは例として台東区を選んでいます。)
このように、外壁塗装に関する制度の記載があれば、条件を満たすことで助成金・補助金を受け取ることができる訳ですね。
各自治体のホームページを確認する
外壁塗装・屋根塗装以外の助成金・補助金は、各自治体のホームページにも掲載されています。
ですので、パソコンでなくスマホからでもご自身がお住まいのホームページを調べて、制度の有無を確認することが可能です。
自治体のホームページから調べる場合、トップページから調べるとサイト内のどこに記載されているのかがわかりにくい場合もあるため、YahooやGoogleなど検索エンジンから「〇〇(自治体名) + 外壁塗装 + 助成金」「〇〇(自治体名) + 屋根修理 + 助成金」と検索する方が早いでしょう。
各自治体の役所窓口で相談する
パソコンやスマホは苦手という方は、自治体の窓口に直接相談してみるのも良いでしょう。
ホームページ記載の情報だけでなく詳細な説明もほしいという方は、直接窓口で確認した方がいいかもしれません。
リフォーム業者に相談する
塗装工事や屋根工事を依頼するリフォーム業者に相談するというのももちろん有効な手段です。
地域密着型の業者であれば、過去に助成金・補助金を申請した実績があるという場合も多く、必要書類なども丁寧に説明してくれるでしょう。
同時に、「助成金・補助金を使った方がお得なのか?」「遮熱・断熱建材を使って費用が高くなるなら、使わない方がいいのか?」なども相談できます。
外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金制度の申請方法や必要書類について
外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金制度を受けるには、まずは自治体への申請が必要となります。
申請方法や必要書類は自治体によって若干異なりますが、こちらでは一般的な申請の流れをご紹介します。
工事の届出
まず最初に、お住まいの自治体への工事着手の届出を行います。
ここで注意すべきは、「工事が始まる前に届出をしなければならない」という条件を設けている自治体もあるという点です。
この場合、工事が始まった後では申請を受理してもらえないので、申請の条件については早めに確認しておくようにしましょう。
工事着工〜写真撮影
届出が済んだら、いよいよ工事に着工です。
必要書類に工事中の写真が必要となる場合もあるので、その場合は忘れずに撮影しておきましょう。
工事竣工〜必要書類提出〜助成金交付
工事が無事完了したら「申請書」「完了届出」など、工事が完了したことがわかる書類に上記の工事写真など必要書類を添えて提出します。
ここまでの工程がすべて完了し、書類に不備などが無ければ外壁塗装の助成金の交付を受けることができます。
助成金の申請者は原則施主(工事発注者)が行いますが、リフォーム業者も見積書や写真など申請に必要な書類を揃えるのを手伝ってくれたり色々とサポートしてくれるでしょう。
助成金・補助金の利用を業者に伝えないまま施主様だけで手続きを進めてしまうと、必要書類に不備が発生したりする原因にもなります。
施工業者には現地調査・打ち合わせの段階で、助成金・補助金を利用する旨をあらかじめ伝えておきましょう。
外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金の申請に必要な書類一覧
申請の条件と同じように、必要な書類も自治体によって若干異なりますが、一般的には次のような書類が必要となります。
各種申請書については、自治体の窓口でもらうことができる他、ホームページからダウンロードして入手することもできます。
住民票や税納・課税証明については各自治体の役所・税務署でもらうようにしましょう。
・補助申請書
・補助金交付請求書
・領収書
・すべての工事完了が確認できる日付入りの写真
・業者作成の請求書内訳
・現場に搬入した資材の型番を確認することできる写真
・工事途中の写真
・住民票の写し
・住民税納税証明書または非課税証明書
・住民税課税証明書
外壁塗装・屋根修理で助成金・補助金を受ける際の注意点
ここまで、外壁塗装・屋根修理で助成金・補助金を受けるための条件や申請方法についてお伝えしてきました。
うまく活用できればお得に外壁塗装工事を行うことができますが、いくつか注意しておくべきポイントがあります。
外壁塗装・屋根修理の必要性を十分に検討してから行う
外壁塗装・屋根修理で助成金の利用を検討する場合、まずはその必要性を改めて再確認しましょう。
上述のように、助成金・補助金の対象となる工事は、遮熱塗料・断熱塗料など省エネに関する塗料、あるいは建材を使用することが条件となっているケースが多いです。
そのため、通常の塗り替え・再塗装では助成金・補助金の申請要件を満たすことができないことも多いのです。
しかし、だからといって助成金・補助金を受けるためだけにわざわざ遮熱塗料・断熱塗料などを使うと、かえって工事の総額が割高になってしまいます。
通常の塗料を使った方が費用を抑えられるといったケースも多いので、ご予算については特にじっくり検討しておきましょう。
助成金・補助金を使いたいがために費用が高額になっては元も子もありません。
また、遮熱塗料・断熱塗料などの機能性塗料は、十分な機能を発揮するためには通常の塗料より厚めに塗らないといけないという特性があります。
機能性塗料を使用しても通常の厚さを塗っただけでは肝心の遮熱・断熱の効果が得られないケースもあります。
かといって、十分な厚さの塗装工事をするとなると作業工賃が大きく跳ね上がってしまう場合もあるので注意が必要です。
もし住まいの遮熱性・断熱性を上げたいという場合は、窓ガラスを二重サッシに変更したり、内壁に断熱材を入れたりと方法はいくつか存在します
そのため、外壁塗装を検討する際には助成金・補助金の活用と同時に、遮熱・断熱といった機能性塗料の必要性を十分に検討してから行うことをおすすめします。
外壁塗装・屋根修理の費用は事前に満額用意しておく
前項の「助成金・補助金制度の申請方法」でもご説明したように、助成金・補助金が受け取れるのは工事がすべて完了した後になります。
これは助成金・補助金の不正受給を防ぐため、本当に工事を行なった人にのみに助成金が支払われるという流れになっているためです。
そのため、仮に申請が問題なく通ったとしても業者に支払う費用を用意しておく必要があるのです。
本当に工事を行なったかどうかは、工事完了後に業者から渡される請求書や領収書、支払いを行なった口座の通帳などで確認されます。
例えば20万円の助成金が受け取れるからといって、用意するのは「工事総額 – 20万円」で良いという訳ではないので注意が必要です。
外壁塗装・屋根修理の単体工事では住宅ローン控除などの税制優遇を受けることができない
外壁塗装や屋根修理の単体工事では住宅ローン控除などの税制優遇を受けることができません。
住宅ローン控除とは、年末のローン残高の1%が所得税から10年間控除される制度ですが、これは住宅の省エネに関する改修工事を行った場合にも対象となるものです。
しかし、省エネに関する改修工事で住宅ローン控除の対象となるには、次の条件を満たす必要があります。
①窓の断熱性を高める工事または日射遮蔽性を高める工事
②天井・屋根の断熱改修工事
③壁の断熱改修工事
④床の断熱改修工事
※住宅ローン控除の対象となるのは①の工事、または①と同時に行う②〜④の工事
つまり、外壁塗装であれば③、屋根修理であれば②の工事も条件に入っているものの、①の工事と併せて行う必要があるということです。
工事単体だと住宅ローン控除を受けることができないということはぜひ知っておきましょう。
外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金に関する条件や申請方法 まとめ
ここまで、外壁塗装・屋根修理の助成金・補助金に関する条件や申請方法について解説してきました。
まずはご自身でお住まいの自治体に外壁塗装・屋根修理に関する助成金・補助金があるかどうかを確認していただき、必要性や費用対効果をじっくり検討した上で活用しましょう。
助成金・補助金を利用する場合は、その要件・条件や必要書類は十分確認しておくようにしてください。
要件・条件や必要書類、申請期限、給付のタイミングなど様々な点が自治体によって異なり、「〇〇が必要だと知らなかった」という状態で工事を進めてしまうと、支給の対象外となってしまう恐れもあるので注意が必要です。
もし活用できそうであればぜひご活用いただき、少しでもお得に上質な外壁塗装・屋根修理を行なっていただければと思います。